福永倫子『Groovin’』【ざっくり言えば土岐麻子ジャンルの系統の、めっちゃポップサウンド】
めっちゃポップでイイ。聴いてて最初土岐麻子かと思っちゃった。いや、違うけどね、違いますけどね。アーチストの誰かと誰かが似ているなんてことはその両方に対して失礼だし、失礼だということは十分に承知しつつ、でも感じたということも事実なのでとりあえず書いておく。で、これまでにない全く新しい音楽のジャンルを開発したというのなら別だけれど、ジャンルも表現手法も多岐に渡り過ぎちゃってる現代にはそれも難しく(そしてそんな必要もないし)、表現をしていれば誰かに似るということはなかなか避け難いこと。しかしながら、この土岐麻子ジャンル(そんなアバウトな表現ですみません)というのは意外なまでにライバルが少ない。それは何も考えずにやっていただけではそこに行き着かないということと、指針となる土岐麻子のクオリティが高いので、近づこうとしてもほとんどが玉砕するということが理由なのではないだろうか。いや、雨後の筍のように似たアーチストが乱立するジャンルとは、何かがきっと違うのだろう。
このクオリティを出してる福永さんはなんかすごいなと思う。ライブ動画も拝見してみたら、周りを固めている演奏陣も結構なクオリティで、ああ、音楽好きが集まっているんだろうなあと想像する。このクオリティにしては動画の再生回数は3000回程度と少なく、半年以上前に公開されてたライブ動画に至っては500回程度の再生回数。動画の再生回数だけが判断材料ではないけれど、少ない。音楽が良いから黙っててもみんなが勝手に見にくるということなんて無くて、だからもったいないくらいに見られていない聴かれていない音楽はたくさん存在している。もっとそういうところを考えてくれるスタッフがいれば違うんだろうけれども、現在のところは音楽好きが集まって、音楽を作って、表現して、MVを作るというところまでで精一杯というところなのだろうか。最初このクオリティの音楽が作れているということは有能なスタッフが付いているのかとも思ったけれど、その辺はまだまだこれからなのだろう。まあ、焦ってそういうところにばかり注力し始めると肝心の音楽が疎かになったりもするし、今のところはこうして良い音楽を作ることに一生懸命でもいいのかもしれない。頑張って!
(2019.6.27) (レビュアー:大島栄二)