sumika『Lamp』
【こんなに能天気な印象の曲が人の心を鼓舞してくれるというのがすごい】
昨年末くらいにテレビをつけてたらいきなりsumika出てきてた。高校サッカーの事前宣伝的な番組で、sumikaのメンバーが高校生サッカー選手と話をしてた。なんかシュールで面白かった。sumikaが高校サッカーの応援歌として『本音』を提供してるとかで、その関係でメンバーが高校生と交流するという企画で。高校生もなんでこんなことになってんだろ的なテンションだったし、sumikaのメンバーも、頑張ってください、的な当たり障りのない声をかけてて。まあそりゃそうだ。で、その応援歌がめっちゃ熱唱系のバラードで、個人的にはsumikaっぽくないなと感じたのだった。彼らの曲を初めてレビューしたのが約2年前で、その時の『Familia』がまたテンポのいいたたみかけるような曲で、こんなに怒濤の音シャワーなバンドは他に無いよなと圧倒されていたわけで、それこそ僕の中のsumika像だったから、『本音』を聴いた時にはなんか違うぞという気持ちがあふれたのだった。その両方の曲が収録されたアルバムが3/3にリリースされていて、収録曲数16曲というのも怒濤な感じだけれど、16曲中10曲が何らかのタイアップついているというのもさらに怒濤。レパートリーが曲調的に単調だったらバンドとしてパッとする訳ないし、実際にこの16曲を聴いたら本当に幅広いなあとわかる。だからどれかの曲調をsumika的などといって他を否定するのはダメだよなあとわかってはいるし否定などまったくしてないものの、それでもあのたたみかけるテンポの良さこそsumikaの真骨頂という認識はなかなか変わらない。そんな中、アルバムリリースに合わせて公開されたMVがこれ。うん、僕的sumikaな曲だ。聴いていて思わずこちらも踊りだしたくなる。ヘイって叫びそうになる。『本音』のような熱唱系バラードはもちろん人の心を動かすんだけれど、こんなに能天気な印象の曲が鼓舞してくれるというのがなかなかないことだし、それをいとも簡単に鼓舞曲にしてくれるのがsumikaのすごいところだなあとあらためて思わされる。
YouTubeのコメント欄にも誰か書いていたけれど、このMVのロケ地は相当に強い風が吹いていたようで、首元に巻いたスカーフがビュウビュウと揺れてるし、テントとテントに張られた旗もはためいているし、民族衣装を着てる女子たちは座りながらスカートを抑えている。それなのにボーカル片岡健太の髪型は一切崩れてなくて面白い。めっちゃナチュラルヘアのようなんだけれど、それをキープするのはそれなりに大変なんだなあ。
(2021.4.6) (レビュアー:大島栄二)
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