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Youmentbay『Take Me』
【そこはかとなく暗いダークサイドなワンダーランドへ】

怖い。怖いってなんだよ。でもこのMVがとっても怖い。キューブリックの映画『シャイニング』に出てくる双子のシーンが、ただ立ってこっちを見てるだけなのに訳もなく怖いような感じの怖さ。訳もなくっていっても、きっと訳はあるはずで、そのあるはずの訳がわからないところが、怖さを余計に引き立てているのだろう。怖いもの見たさで、過去動画も一通り見てみる。楽曲の雰囲気もこの2年ほどで結構変わってきている印象があった。とはいえ彼らの素の表情はあまり表に出していないのは一貫してて、『Night Radio』という曲の終盤で楽しげにふざけてる2人の姿が映し出されているのが唯一の例外といえるくらいに、ずっと無表情を貫いているというか、そもそも無表情がデフォルトなのか、定かではないけれどとにかく人前に晒す時は何かを演じているような、そんな意思さえ感じられる。このMVはその究極のようなもので、4分ほどのMVの中でダークサイドファンタジーを創り上げようとしているようでもある。楽曲も以前のMVによくみられたHIP HOP調のテイストはまったくなく、まさにダークサイドファンタジー調といってもいい、ここじゃないどこかの世界でだけ流れていて欲しい、悲しげで怖いサウンドになっていて、やはり震える。楽曲のタイトルが『Take Me』で、それは彼らがMVの中にあるダークな場所に連れていってと言っているのか、それともダークな場所から別のどこかに連れていってと言っているのか。歌詞ではワンダーランドに連れていってといっているのだが、そのワンダーランドとは具体的にどんな場所なのかは描かれておらず、この曲を聴いて、ワンダーランドといわれる場所に行ったとしたら、そこは額面通りの薔薇色な場所ではなく、そこはかとなく暗い場所であるかもよということを暗示しているようでもある。

(2021.4.22) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl