Joe Strummer『I Fought The Law』
【彼が貫き通したパンク的アティチュード】
まさにレジェンド、The Clash。そのフロントマンでありパンクシーンのカリスマ、Joe Strummerの没後20年が近づきつつある。そんなことも関係しているのか、今年3月にはThe Clash以降のキャリアにおける名曲、未公開曲を集めたコンピレーションアルバムが発売された。今回はそこから「I Fought The Law」を取り上げる。もはやThe Clashバージョンのほうが圧倒的に知名度は高いと思われるが、この音源はThe Mescaleros時代に演奏したものだ。Joeが亡くなる一年前、という実情を知っているせいか、The Clashとは違う、どこか憂いや哀愁を感じさせるアレンジがより胸を打つ。「The Law Won」辺りの意味合いも深みを帯びた響きで聞こえてしまう。このアルバムではThe Clash以降、さらに彼が追及していった、多ジャンルとのボーダーレスで融合的な楽曲を改めて知ることができる。その上で、彼が貫き通したパンク的「アティチュード」は刻印されている。古くからのファンも新しい(彼を知らない)リスナーも楽しめるアルバムだ。
(2021.4.28) (レビュアー:夜鍋太郎)
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