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the cibo『BEHIND』
【もっと売れるべき、というより高く評価されていいと思えるくらいの迫力と存在感に満ちている】

久しぶりに見たぞthe cibo。激しいのに激しさだけが目立つような種類の音楽ではないし、激しさだけを売りにしているわけでもない、多分。よくよく聴いているとこのボーカル前川翔吾の声はハイトーンで甘い系。ラウドロックとかいう感じの声ではなくて、アカペラでバラードとか歌ったらまったく違った印象に聴こえるんだろうと思う。思うけど、やっぱりバンドとしての歌唱としては激烈なインパクトを与える仕上がりになっている。この2ヶ月ほど前に公開されていた『your song』ではサウンド的にももっと歌を雨に出した感じだし、映像も明るくて、多少マイルドなものになっているが、この『BEHIND』では暗い場所での演奏シーンが中心で、ダークさと共に迫力が増している。だが根本のところはサウンドそのものであって、打数の多いドラムと、これまた音符を詰め込んだベースラインが生むグルーヴがこのバンドのサウンドを形作っている。イントロなどではギターの音も前面に出てきているものの、曲中でのギターはひたすらカッティングに徹している。それだけじゃなくミックスでもギターの音量はかなり絞られているのか、ベースとドラムだけのバンドじゃないのかというくらいにリズム隊だけで進行していく。それでも物足りなさを感じるどころか、むしろおなかいっぱいとも思えるくらいの圧がある。このバンド、もっともっと売れるべき、というより高く評価されていいと思えるくらいの迫力と存在感に満ちている。

(2021.6.25) (レビュアー:大島栄二)


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review, the cibo, 大島栄二

Posted by musipl