Fountains of Wayne『Stacy’s Mom』【Adam、安らかに、ありがとう、という言葉しか絞り出せない】
できることなら、新曲を扱いたかった。できることなら、こんなレビューを書きたくなかった。本当に。Fountains of Wayne(以下FOW)のAdamが新型コロナウイルスで亡くなってしまった。正直、私はひどく打ちのめされている。こ ...
植田真梨恵『Stranger』【選んできたチョイスが間違ってたとして、今ここが今日の通過地点】
アーチストにはそれぞれスタイルというか型というものがあって、リスナーはそれをそのアーチストが本来持っていた固有の素養と思いがちだが、音楽がけっしてひとりではビジネスになり得ないこと、しかも若くてビジネス経験の浅いアーチストがビジネスと ...
レベル27『終わらせたって構わないと笑った君へ』【覚えやすいポイントを何かひとつ持っている】
けっこう、いやかなりシリアスな内容の歌を歌っているレベル27。なのにその歌詞のシリアスさがほとんど入ってこない。歌やパフォーマンスがダメだとかいうことではなくて、画面に釘付けになってしまって他のことに注意を向ける余裕が無くなってしまう ...
Lucky Kilimanjaro『Drawing!』
【閉塞感の中で出会った、僕らを突き動かそうとするエネルギー】
約1年半前に彼らのレビューをした時に「閉塞感の打開への意志が強く打ち出されていて心地良い」と書いた。ひとりの夜という押しつぶされそうな闇の中をズンズンと突き進む心地良さ。心地良さというか、突破力のようなものを感じたのだった。それからさ ...
海里『春の歌』【ライブハウスのイベントまで自粛させられた期間に、オープンエアの駅前に届けられた季節の音楽】
春が来て、卒業旅立ち、引っ越しシーズン。直接的には知り合いでない人もそっと入れ替わる。マクドナルドの高校生バイトや、コンビニのレジの人。一回しゃべった店員さんが故郷へ帰っていた。新しく来た人に気づくことはあるけど、見なくなった人がもは ...
FEZ INVICTA『Bottle Up』
【それぞれの音が自分を主張して、その主張ぶりのバランスが絶妙で、聴いていて心地良い】
イントロのギターがカッコいい。このバンドにある2本のアコースティックギターがベストな相性で響きあっていて美しい。そこに絡んでくるベースのアコースティックっぽい音とブラシスティックのドラム。すべての組み合わせがめっちゃいい。もちろん後付 ...
Badly Drawn Boy『Is This A Dream?』【マンチェスターの酔いどれ男、長年の沈黙を破りまさかの新曲発表!】
マンチェスターの酔いどれ男ことBadly Drawn Boy。長年の沈黙を破り、まさかの新曲発表に私は小躍りした。それこそ、一杯やりたいくらいの気持ちになった。思えば2000年代前半の彼は、あまりにも輝いていた。立て続けに出したアルバ ...
BRADIO『幸せのシャナナ』【これぞファンクの魂だ!】
世の中にファンクと自称するバンドはたくさんいるけれど、BRADIOほどファンクなバンドはないね。いやいるかもしれないけれどさ、僕が知らんだけかもしれんけどさ、そんなすべてのバンドをチェックしてファンク度を比較してランキングしてから言え ...
石崎ひゅーい『パレード』【ポジティブなことを考えることも、ネガティブなことに囚われ落ち込んでしまうこともある】
危機が迫った時、正直に怯える人と「今がチャンス」と血をたぎらせる人がいる。日常がある程度固まった世界で、その日常が続く限り不満多き現状から抜け出せないのだとすれば、変革や動乱こそ抜け出すための稀なチャンス。それを逃せばまた不満多き日常 ...
藤田麻衣子『素敵なことがあなたを待っている』【相手の気持ちに共感しつつ、それが徐々に変わっていくことを期待するかのような表情の変化】
心が打ちひしがれてしまっている人に対して「頑張れ」は禁句だと言われているし、僕もそう思う。では「よく頑張ってきたね」はどうなんだろうか。未来に向けて頑張れと強いるのではなく、過去のことを頑張ったねと讃える。文字面は似ているけれど意味合 ...