太田裕美『雨だれ』【僕だって、古い曲を聴かないわけではありません】
日頃から、新しいアーチストを聴かないか、聴けよ、古い曲ばっかり聴いてんじゃねえぞみんなと主張しまくってる僕だって、古い曲を聴かないわけではありません。これとかね。そもそもリアルタイムの頃には太田裕美イチオシというわけではなかったし、こ ...
BEIRUT『LANDSLIDE』【様々な境界線を跨ぎ、動き続けているベイルートのようなあり方が】
宏大な空から指す新しい光に届くようなザック・コンドンの伸びやかな声と節回しが安心感と開放感をもたらせてくれる。4年ぶりとなる新作『Gallipoli』からのリード・トラック。少し説明をしておくと、ベイルートとは、レバノンの首都名である ...
THE 118’s『僕の言い訳』【言い訳っていうのは何のためにやるのだろうか】
言い訳っていうのは何のためにやるのだろうか。何か悪いことをした場合に、そうしなければならなかった理由があったんだと説明する、それが言い訳なのだろうと思う。その「悪いこと」は本当に悪いことなのかという検証はされたのかということも問われる ...
THE FLOPPOTRON『Bohemian Rhapsody』【フロッピー、HDD、スキャナーといった機械の音だけで作った曲】
映画「ボヘミアン・ラプソディ」の勢い、依然衰えず。今回はQueenの曲を変わった形で紹介したい。とは言え、どう説明していいのかわからないのだが、フロッピーディスク、ハードディスク、スキャナーといった機械の音だけで曲を作る、という趣旨の ...
マイアミパーティ『つれづれ』【いい声は、サウンド全体を自由にする】
聴いた瞬間に、声がいいな、と感じた。よくよく聴き返せばこれをいい声だと断言した理由が何なのかよくわからなくなってくるのだが、声楽の人のような澄んだ声とは対極にあるような歌声なのだが、でも直感でいい声だなと思ったし、理由がよくわからなく ...
RETO『Restart』【彼らのリスタート。バンドが疲弊して活動休止してしまってから寂しがってももう遅いのだ】
これまで3度レビューを紹介してきたRETO。彼らの作品の深さやMVとの関係性、アイディアの卓抜さなどに惹かれて「紹介しなくちゃ」と何度も思わされたのだが、そういう彼らも現役のバンドであって、当然のようにライブはしているはずだったのに、 ...
GRAPEVINE『Alright』【必要なのはともに笑える大丈夫な人たちとのか細い時間だ】
ホーン・セクションの華やぎ、問いを投げかけるような歌詞の下でうねるグルーヴ。ポップネス、そして、フェイセズ、ストーンズ、ウィルコなどから通じるブルージーな重さと、どこか乾いたサイケデリックな音像。今では珍しくなったほどの”ロック・バン ...
神楽ファミリア『劣等』【こういうのを聴き逃しているのはもったいなくて、愚かしくて】
キレのある音楽を聴くのはとても心地がいい。たとえその音楽が表現しようとしている世界観がダークでネガティブなものだとしてもだ。だから当たり前のように、ポジティブでポップで誰かの背中を押してくれようとするような音楽であってもキレのない音楽 ...
Pororoca『ローカルトレイン』【都会に出る女子と、田舎で想う男子、2018年ヴァージョン】
田舎に住む人が、都会に出た人を気遣う歌。一昨日の『遠くまで行く君に』もそうだったが、田舎に残るのが男子で都会に出たのが女子という構図が最近は一般的になってるんだなというのが興味深い。もちろんずっと前から女性も都会に出ていってたし、それ ...
boygenius『Me & My Dog』【3人の歌声の響き合いはまさに完璧。うっとりと聴き惚れてしまう】
Julien Baker、Phoebe Bridgers、Lucy Dacusのアメリカインディー界の若手3人が組んだプロジェクトがこちら。若く、きらめくような才能の持ち主である彼女たちが、自らを「boygenius」と名づけることに ...