THE PRISONER『喜びの歌』【繰り返しオンリーのシンプルなメッセージ、これは意外にアリだ】
防波堤でオペラ長の歌を歌う謎の男。そうかと思うと普通の人の普通の格好の男女が走り始める。するとさっきまで防波堤の上に立っていた謎の男も一緒に走り出す。曲が進むと「あれ?」と思う。サビが無いのだ。いや、違うなそれは。サビしか無いのだこの ...
米津玄師『LEMON』
【米津玄師は何でこうなってしまったのだろう】
米津玄師は何でこうなってしまったのだろう。
ハチにも戻れず、“米津玄師そのもの”を模造化しないと許されないという社会的要請がこうさせたというならば、日本でゴスペルが宗教的な意味以外でもシビアという文脈で、歌謡曲が人心をふる ...
Czecho No Republic『テレパシー』【メッセージを身体で擬音化したような不思議ダンスのワープ体験は続いてゆく】
情報解禁日にラジオで『テレパシー』のサウンドを聴いた時、なぜか頭の中に、ダンスとも呼べないUFO出現を願うような舞踏を突然演じだすカメラ目線の人が見えた。あと、ギターソロがカッコイー。
MVを見ると、予感は当たっていた。2 ...
Slimcat『Don’t Stop Groovin’』【イイところを見つけたな! このビデオの撮影場所が知りたい!】
MVを撮影する時に大事なのは撮影場所だ。大道具を使ってスタジオで撮影するのなら別だが、野外で撮影するためには場所の選定がとても大切になる。人がたくさんいる街中でも構わないと割り切ってしまえばいいけれど、普通は誰もいないところで撮影した ...
ART-SCHOOL『OK&GO』
【彼らが居ることで安心する同業のアーティスト、ロック・ファンは多い】
幼い頃に怯えていた 大人になって家庭を持ち
遊園地とか連れていけたら 笑えるだろ
たったそれだけなんだ
生き延びていると現実は時おり冷酷過ぎて、またやるせなくてどうにも受け止められないことが出て ...
Andrew W.K.『Ever Again』【心の底からパワーがたぎる、アニキ12年ぶりの熱いパーティー】
世界3大アニキの1人(勝手に決めたので他2人も含め諸説あり)、且つ、稀代のパーティー野郎が戻って来た。なんと12年ぶりのオリジナルアルバムだ。彼の初期の曲名は「パーティー一直線」「吐くまでパーティー」「汗にまみれてパーティー三昧」など ...
灰色ロジック『モーニング』【彼女のことを「趣味とバイト」と同様に大切って、大丈夫か若者よ】
シンプルな曲だ。とてもシンプルで、単純なことを歌う。朝からずっと君のことを考えていると。その君が「趣味とバイトとあんた」で同様に大切だと。生々しいな。そこで「君が一番なにより大切だ」と歌い切るべきだとは思うが、嘘でそう歌ったところで意 ...
遠藤理子『午前3時』【インスタ映えの対極にある、日々の現実と内面との闘いを歌う17歳】
仙台に拠点を置く17歳の遠藤理子の歌は、何故こんなにも刺々しいのか。歌詞の言葉ひとつひとつがネガティブで、ネガティブが重ねられた世界はなぜか清々しい。それはそこに嘘が無いからだ。誰もが日々の美しい画像を切り取ろうとスマホ片手に必至で、 ...
くるり『温泉』
【今でこそ、こういうのどかさで世俗の垢を落とせるように】
サウナやシャワー、湯治の世界地図がなかなか改変がおこなれることはないながら、温泉、お風呂のカルチャーの日本の奥深さはいいなと歳を重ねるたびに思う。様ざまな疲弊や草臥れを溶かすにはやはりお風呂に限る。昨年に東海地方の常滑という場で泊まっ ...
sui sui duck『circle』【音楽というスタイルを鎧として身に纏った、現代のアーチスト】
なんというスタイリッシュ。いや、これがスタイリッシュなのか。言葉の定義はともかくとして、本当に飄々とした音が、サウンドが、いややはり音が溢れるように流れていく。アーチストというのはかつてはテレビやラジオや雑誌の向こうにいた人たちのこと ...