ザ・クロマニヨンズ『どん底』【ヒロトとマーシーの音楽は若い人にはどう映るんだろうか?】
今の若い人はザ・クロマニヨンズのことをどんな風に感じるんだろうか。若い頃にブルーハーツに接した人たち(今は完全に中年)はクロマニヨンズに当時のブルハのイメージを当然重ねるだろうし、そのイメージを持って聴くのと、今の10代から20歳くら ...
メロウ・イエロー・バナナムーン『胸の裏』
【耳について離れない、女性ボーカルが歌う「ベイビー」】
多くの曲で「ベイビー」という言葉が使われる。その多くは男性が女性のことを指して声をかけるもので、そうでなければ本当に小さな赤ん坊に向かって使われる用語だ。だが、この曲では女性ボーカルが「ベイビー」を多用する、繰り返す。とても新鮮で心地 ...
源川瑠々子『カラ―』【歌は歌い継いでる限り誰かに届くのです】
幼少期はポップスとして『こんにちは赤ちゃん』をよくラジオで耳にした。今は、放送局では自主規制ソングだそうです。理由は、赤ちゃんを失ったお母さんが聴くとドキッとする、と投書批判があったらしい。歌自体がやりきれないフォーククルセダーズの『 ...
King Krule『Half Man Half Shark』【かっこいい曲を聴いて、心のひだのようなものがざわめく感覚】
ぞわぞわ。かっこいい曲を聴いて、心のひだのようなものがざわめくときの音がある。そんな感覚を久々に味わった。デビュー当時、彼が19歳くらいのときのライブを見たことがあって(と言っても最近だが)、すでに堂々たる雰囲気をたたえていた。それで ...
スカート『視界良好』【発見されない限り埋もれたままのニュアンスが多く、だからこそ遠回りばかりな人たちへと】
日本語詩の持つ寂寥感や、侘び寂びがなかなか輸出されないように、切なさも同じようで、というのは故郷(に近いどこか)に対しての視座や思慮がこの数年であちこちで変わったと証左なのだろうか。
小さな町の診療所はごった返し、都市の人 ...
LINE wanna be Anchors『人生』【苦悩と疾走の繰り返し、突き放すような抱擁】
多くの若者が不安を抱えているように、きっと彼らも不安を抱えながら音楽に賭けているのだろう。イントロでミドルテンポなアカペラのようなスタートを切ったこの歌が、1フレーズ終わったあとから急激にテンポアップしていく。その勢いがたたみかけるよ ...
Liam Gallagher『For What It’s Worth』【見事なOASISの「新曲」だと思って聴くことも十分に可能なアルバム】
今さら言うまでもなくOASISのリアム。リアム・ギャラガーがシンガーソングライターとして復活して、ニューアルバムはOASISだよなあとなんか嬉しくなる。もちろん何がOASISなのか、どんな音楽がOASISなのか、人によって違うだろうし ...
secondrate『回想電車』【ズルいけど、音楽はすごいよなあ】
普通に泣く。泣くよな。別れることになった彼女を駅まで送っていってそこでお別れで、別れを惜しみ哀しむ男の側の歌。なんでこんなことになったんだろうと苦しい胸の内を吐露する男。でも歌詞をよく読むとこんなことになったのは男の側の優柔不断という ...
BRADIO『LA PA PARADISE』【そのうちにライブ観に行ってみたい筆頭格だ】
おお、このファンクというかディスコというかモータウンというか、軽快なサウンドと歌唱すごいねと思うけど、じゃあこのBRADIOがファンクなディスコなモータウンなバンドなのかというとまったく違う(違うと断言するのもちょっと違うが)。どロッ ...
The Selecter『Frontline』【薄暗いパブ感丸出しの空間の「フルーツ盛り」の思い出】
十年以上前、繁華街の外れの喫茶店によく通っていた。パブを居ぬきした内装で、恒常的に客はいない。とにかくあやしい店だった。若い雇われマスターがいて、ときどき、裏事情があるとしか思えない「フルーツ盛り」をただで出してもらうようになった。何 ...