あいみょん『愛を伝えたいだとか』【それぞれの正義の中で、我を通す者に相応しい色】
『スターウォーズ』が、物語を買いまくって自社製品化するD社の手に渡った。シンデレラや白雪姫はグリムが、人魚姫はアンデルセンが創作したことすら知らない子どもたちが居るように、いずれルーカスも知らず、Dズニーリゾートで楽しまれるようになる ...
The Belligerents『Science Fiction』【CDショップで一目惚れした、弾けるようなひねくれポップネス】
ネットショップに加え、ストリーミングサービスの充実も甚だしい。便利さに慣れすぎて、もういよいよ実店舗はいらないんじゃないか、行く必要ないんじゃないか、と思い始めた矢先のこと。久しぶりに巨大CDショップを訪れ、視聴してみて思った。あ、や ...
白い朝に咲く『日々の泡』【正面から向き合って、聴いてみる価値はある表現】
切り裂くような声。こういう声は、自我がやむにやまれず噴火のように表面に出ていく、その時の勢いのようなものを積み重ねるなかで形成されていく声なのだろうと思う。内面を表に出さず抱え込む人には獲得できない、ましてやたいした内面を持たない人で ...
民謡クルセイダーズ『会津磐梯山』【今は今なりの伝統への距離感と遊び方】
縁があって、マレーシアの方々と会う機会が多く、彼らは挨拶代わりに「Sudah Makan?」と言い、要は「ご飯食べたの?」ということで、食べてないなら一緒に行こうよ、とか、食べていてもお茶くらいでも、となる。多民族国家を繋ぐ言葉はちゃ ...
キリンジ『エイリアンズ』【ヨソ者たちのための中心を回流するアンセムとして】
まだ、2017年も終わっていないままに、何かしらあまたの報道の偏向に対して、あたかもエイリアンズな気持ちになることが増えすぎておかしくなりそうで、少しばかり彼らについての自身が知っていることを書こうと思う。私事はいいにしても、世事はこ ...
Lucky Kilimanjaro『Favorite Fantasy』【これはシティポップなのか?そもそもシティポップって何だ?】
とても軽快なポップミュージック。そしてどことなく懐かしい印象。こういうのを、シティポップと呼んでいいのだろうか、よくわからない。例えば冒頭から「青山通りを抜け」や「ロンリーボーイ/ロンリーガール」「魔法をかけ」といったフレーズが散りば ...
Ribet towns『メトロ』【自分の中に在るはずの想像の力を、この曲は思い起させてくれる】
アイリッシュな雰囲気のするギターのストロークがとても可愛くて、楽曲は終始祝祭の雰囲気に包まれているようだ。歌われているのは地下鉄に乗って人に会いに行く、その中での出来事がいくつか。ただの地下鉄なのに、地底人が出てきそうだなんてまた可愛 ...
Ibeyi『I Wanna Be Like You』【キューバ系双子姉妹による浸透力の強い作品】
滋養に満ちた音楽、というのが第一印象だ。民族的なエッセンスが感じられつつ、モダンでもある。パリ育ちのキューバ系双子姉妹。彼女たちの背景が曲に生きているのは間違いない。リズムの多彩さ、ボーカルの(表現力、声色、音の)豊穣さ。それらの要素 ...
Fitness Forever『Canadian Ranger』【ファニーなセンスと軽快なポップスに感覚の歩幅を変えてみるのも或る種の】
或る種のエキゾチズムは、状況次第で書割の部屋に格納されることが多い。小さい竹林と庭園を作った部屋に南国のリゾート・ホテルの昂揚があったり、遠い極寒の地で頑なに中国茶器や茶葉にこだわり続けていたり、風水である程度のその日のリズムを決める ...
桑原あい×石若駿『ディア・ファミリー』【アーチスト同士が呼吸を併せながら作り上げていく演奏風景】
土日のニュース番組のオープニングテーマのこの曲。夜なのに朝のような爽やかさでとても印象に残る。番組のテーマの時には楽器構成がどんなだとかまったく気にしてなくて、だからこうしてMVになって見てみると改めて驚く。ピアノとドラムだけかよって ...