さよならポエジー『二束三文』
【苦悩の割に実りの無い、そんな普通を愛している】
自己肯定感が生きるには必要だ。そんな言葉を最近よく目にする。高度成長期にはよく言われた上昇志向は、出世こそが人生という意味で、故郷に錦を飾ってやろうと多くの若者は心に誓った。だがそれは戦後の焼け野原という本当に何も無い国の、世界経済の ...
さすらいナンバープレート『本気でMother Fucker』
【なんだこの完璧な展開は。天才なのではなかろうか】
この飄々としたテイスト。とても好き。自己紹介ソングと言ってもいいのだろうか。最初にソロを取るメンバーが「ドラムのサカモトユウタです」と歌うのだが、持ってるのはギターw。そしてボーカルの紹介をする前に「ここまで僕らのペースについて来てる ...
Phoenix 『J-Boy』
【「フランスのおしゃれバンド」のイメージを超越して、唯一無二の存在に】
今や、出身国でカテゴライズするなんてナンセンスなのは承知しているが、フランスのアーティストっておしゃれ、洗練されている、という印象がある(えっ、じゃあミッシェル・ポルナレフは? という質問はできれば無視したいが、あれはあれで、大好きだ ...
chietoyts『youth is yesterday』【人生のごく一時期だけに存在する、「世界の終わり」】
タイトルに惹かれる。青春時代は昨日。直訳するとそういうことでいいのだろうか。青春時代なんて記憶の彼方という年齢になれば「今でも青春ですよ」みたいな、永遠の18歳みたいな厚かましいことを口にできるが、「ああ、青春が今終わった」みたいな瞬 ...
Alfred Beach Sandal + STUTS『Horizon』【ある者の「過去」が、他の者にとって「未来」になりうるのならば】
中学生の頃に自転車で知己と三人で70kmほどだが、小さい旅に出たことがあった。その途程に於けるかなりの急坂をどうにか越えると、当時にすると宏大な街が見わたせた。その街は工場街だったのだが、ずっとずっと先に地平線の彼方がぼんやり霞んでい ...
ハンバート ハンバート『がんばれ兄ちゃん』
【2020年までに、消える東京があります。だけど】
軽快な歌。そのMVの冒頭には、歌詞とは直接関係のない「2020年までに、消える東京があります。」という文字が表示される。なるほど、東京五輪までに消えるのか消されるのかわからないけれども、無くなっていくものは多いのだろうなあと、渋谷界隈 ...
椎木知仁『だらしない』【好転する可能性が0ではない状態に、夢を見て、幸せを感じ、縛られ、甘んじて…】
椎木知仁の『元ヒモとして』チョーうけるんですけど!涙拭きながら、ぷげらっ!その曲の他にも、ヒモソングがいくつか、だらしない二人の世界が出来上がってた。本人が「婚活」とはっきり口に出す女友だちに、私は責任を持たない身勝手な立場から「ろく ...
Mondo Grosso『ラビリンス』
【ストレンジャーのように彼女は「誰か」の視線を待っている】
あえて具体名は出さないものの、これからの活躍や展開なども楽しみだったDJやサウンドメイカーの逝去が近年は相次いでいて、しかも、ある程度の天寿だったらいいものの、それなりの若さで声をうしなってしまう。ハードな環境で新たな何かを紡ぎあげて ...
The Drums『Blood Under My Belt』【激動の日々を経た復帰作は、原点回帰の軽やかサーフポップ】
約2年半ぶりのアルバムが発売されたばかり。デビュー当時からメンバーが徐々に減っていき、結局、二人プラスサポート体制に落ち着いた、というここ数年の認識だったが、もはやJonathan Pierce一人のプロジェクトになったようだ。前作の ...
虎の子ラミー『負けるな友よ』
【頑張れとは言ってない、負けるなと言っている】
オフショット満載のMVのそのオフショットがアホっぽくて、とても良い。アホっぽいのがいいのではなくて、そのアホっぽい光景がとても楽しそうで、うらやましい。いや、僕だって楽しく毎日暮らしているんだけれども、その楽しさを支えているのはやはり ...