イソフラボン『半熟トマト』 Next Plus SongYUTORI-SEDAI『涙の雨』

UNICORN
『人生は上々だ』

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 僕にとってユニコーンとの出会いは高島平。当時セールスで回ってた高島平の小さなレコードショップでアルバム『服部』を買った。ついでに前作『PANIC ATTACK』も買った。2作の違いがはっきりしていた。『PANIC ATTACK』では当時たくさんいた普通のロックバンドとたいして変わらなかった。というか、その他大勢のひとつに過ぎなかった。『服部』には明らかにコンセプトがあった。具体的にはなんなのか。「コンセプトを持つ」という意志を持ったという、そういう宣言のような何かに溢れていた。バンドが何のコンセプトも持たずにただ好きな音を鳴らしているだけであれば、それは好きなジャンルのフォロワーに過ぎない。自分が作ったメロディに自分が作った歌詞を乗せたところで何も新しくはない。自分が作るというのは、肉体としての自分が作ったという意味であれば個性など感じられるはずが無い。将来的には人工知能がメロディや歌詞を作るようになるだろう。それに人は何を感じるのだろうか。だがほとんどの音楽創作はやがて人工知能に取って代わられると僕は思っている。世の中にはその他大勢と同じなのに自称個性を主張するだけの音楽が多いからだ。ユニコーンがその他大勢から抜け出せたのはいったい何故なのだろうか。それは「他と違う」ことに一番のプライオリティを置いたからだろう。デビュー当時も、それ以前も、他と違うことを考えなかったことはないだろうし、彼ら以外のインディーズも含めてすべてのアーチストが「他と同じでいい」などとは考えていないだろう。だが、それを実現するのは本当に難しい。小手先で安易にやれば単なるウケ狙いでしかなくなる。他と違うことにフォーカスするあまりに手足を縛られ、本来の自分を見失うこともあるだろう。そこに難しさがあり、だからこそ、本当に他とはまったく違う自分を打ち出せるということには価値があるのだ。ユニコーンの成功は、その他大勢とウケ狙いの間にほんの僅かしかないエリアを探し当てることに成功したからなのだろう。そういう意味で『服部』というアルバムは名盤中の名盤と言って間違いない。『服部』を代表する曲は「大迷惑」で誰もが納得するだろうが、僕はこの曲も大好きだ。「ペーター」や「ミルク」も大好きだ。そういういろいろなタイプの曲が曲が詰まった、まるで噴火直前のマグマのようなアルバムだった。動画冒頭でMCが延々と流れ、普通なら曲の冒頭までカットした形でリンクを貼るのだが、このMCがユニコーンらしくて良い。なのでご覧いただくならばMCから一緒にどうぞ。
(2016.4.2) (レビュアー:大島栄二)
 


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