三回転とひとひねり
 
『知らない』
 自由だな。AメロとかBメロとかいうものから解放された楽曲だから当然サビもなく。これはBGMを流しながらの詩の朗読なのだろうかとさえ思う。いやむしろ朗読というよりもお経なのではとさえ思う。不思議なことにメロディが詩とリンクしないこういう表現は、歌になっている詩よりもダイレクトにこちらに意味が伝わってくる。法事でお坊さんがお経を詠んでいるのを聞くと、あれはなんと言っているのだろうかと思ったりする。実際父親の葬式の際に……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『きりかえガールズ』
 言葉遊びが展開されているようなリリックビデオで、でもこの言葉遊びは遊びの領域を遥かに超え、言葉のちょっとした違いで変わってくるニュアンスの溝のようなものをえぐり出している。僕らの暮らしは人との関係によって成立していて、その関係を支えているのは言葉によるコミュニケーション。その言葉を僕らは存外に乱雑に扱っていて、だからその言葉のちょっとした遣い間違いによって生まれる溝が、良好だった関係にも見事に溝を生み、別れに至るのだと……
 
  (レビュアー:大島栄二)