夜ハ短シ
 
『やさしさについて』
 なんてことはないのだ。なんてことのない曲。だけれども、なんてこともないのだけれども、ついつい手を止めて聴いてしまう。こういう曲のことは、とても困る。どう言い表せばいいのかわからないからだ。音楽はそれ自体在れば良くて、聴けば良いじゃん、良い歌だって判るよと。それはその通りだ。でも人が聴きたいと思うにはきっかけというものがあって。だからその知らないから知るに至り、知って興味を湧き立たせて聴いてもらうまでの、その間をつなぐ上で言葉が……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『今日も生きるのだ』
 ベースはリズム楽器である。それは基本中の基本で、だからほとんどのベースはボンボンボボボンボボボボンとコードの中で低音のフレーズをループする。もちろんそれは基本中の基本なので正しくて全く正しいことなのだが、時々そういう基本から逸脱するような演奏をするベースに出会うことがある。このバンドのベースはこの曲で最初そういう基本の演奏を見せていくのだが、そのフレーズが徐々にギターソロのような役割を担いはじめ、間奏では完全に主メロを弾くように……
 
  (レビュアー:大島栄二)