LILI LIMIT
 
『LIB EP』
 最新動画ではディスコだかクラブだかで踊る人たちと、踊らない人とが映る。7分を超える、新作『LIB EP』のトレーラー的動画。収録された4曲を組み合わせられている。トレーラーでありながらもあたかも1曲のように感じられるのはEP全体に流れている彼らの背骨のようなものが意思を持っているからなのだろうか。それは、つかみたくてもうそこに手が届いているようにも思えるのに絶対に触れることの出来ない何かへの熱情と、裏腹な諦めのようだ。それが3曲目の……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『LAST SUPPER』
 最後の晩餐には裏切りが必ず、どこかにある。
 だからといって嘆くことはなく、こういうメニューで、こういう配置で、と言ったところで適わないのが人間の持つカルマのような何かで、そこを極端化してしまうと、美術館には誰も訪れなくなってしまう。博物館の方がまだ最後の晩餐に合うように。彼らはずっと一定評価を得ながらもまだまだオルタナティヴに、また孤高の道を往っている感がある。いわゆる、サカナクションの流れでもない、今世の都市内に渦巻くポップの……
 
  (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))  

 
『A Short Film』
 LILI LIMITは本当に良いな。全体的にひねくれたサウンドだし、ひねくれた声のボーカルだし、ビデオの作り方もひねくれてるし、だけど、なのに、心に沁みるポップ。これをスタイルで分析しようと思ったって多分無理で、形式主義とか楽譜主義の人には到底到達しない領域なのだと思います。例えばこのビデオはショートフィルムという曲のタイトルにかけているのか、映像に音をアフレコするという内容になっている。朝のシーンでは鳥の鳴き声、目覚ましの音を映像に合わせて……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『Festa』
 不思議なグルーヴだ。この不思議さがビデオの作りにあるのか、サウンドにあるのか、ボーカルの声のアクの強さにあるのか、おそらく、その全部だろう。無表情で動きの乏しい映像が異質な空気を生み出していて、そういうバンドなのかとついつい思ってしまうが、同曲のライブ映像を見るとけっして無表情で動きの乏しいパフォーマンスなどしているわけではなくて、そういうシーンを見ているとMVを見ている時に感じる不思議さは多少軽減されていく。では軽減された結果……
 
  (レビュアー:大島栄二)