2019年のmusipl.comでの2月アクセス数上位10レビューはこちら!


 
1位 フラワーカンパニーズ
『ハイエース』
 フラカンはいまもハイエースに乗っているのだろうか。

 バンドがツアーで全国のライブハウスを回るとき、新幹線で移動なんていうのはごく稀なケースで、大抵は交通費をできるだけ切り詰めた手段を考える。初ツアーではメンバーの誰かが持っている普通の乗用車で行くし、ソロシンガーなら深夜の高速バス&ネットカフェというのが… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 BABYMETAL
『紅月 -アカツキ-』
 「Su-metalですっ!」っていう挨拶がおぼつかない頃から、逆輸入に至る大きな現象は痛快だった。なによりも、全部が「好き!」で渦巻いていることのパワー。中の人が「おまえらこういうの好きなんだろ」なんて運営感は微塵も無く「俺たちホント、これ好きだから!」って出してくる曲に、初期ファン、海外ファン、懐疑的だったファンまで「これだよ、好き!」。『紅月 -アカツキ-』が発表された時に、ひしひしと… (レビュアー:北沢東京)
 

 
3位 中川家
『地下鉄御堂筋線ブルース』
 大阪の地下鉄、御堂筋線。その停車駅についてひとつひとつツッコミを入れるという歌。面白い。しかしツッコミを入れられている駅や街について何か知ってるのかというと実はほとんど知らない。西田辺にシャープの本社があったとか知らんし、動物園前の壁にどんな絵を描いてあるのかとか見たこと無いし、大黒町がどんな風に怪しいのかなんてまったく想像できん。それなのに面白いのはいったい何なのか… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 石田洋介
『PUZZLE』
 石田洋介。バンド「吟遊詩人」「石田洋介トリオ」を経て現在はソロで活動中。ここ10年程はご当地キャラクターとの縁を得、彼らのための曲を書きまくり、今や「ご当地キャラソングの帝王」の愛称が定着するほど。そんな石田洋介のオリジナル、2019年時点の代表作と言ってもいい「PUZZLE」(アルバム「MOSAIQUE」収録)。【誰ひとりいなくなっていい人などいない】石田洋介の歌詞には常に孤独と自由、愛と… (セルフレビューby 浦山純子)
 

 
5位 キリンジ
『エイリアンズ』
 まだ、2017年も終わっていないままに、何かしらあまたの報道の偏向に対して、あたかもエイリアンズな気持ちになることが増えすぎておかしくなりそうで、少しばかり彼らについての自身が知っていることを書こうと思う。私事はいいにしても、世事はこうも急速に緊縮していかないといけないのだろうか、というのは(国境)線沿いのふとした感慨なのかもしれず、その線の上に。そこに押されるスタンプは… (レビュアー:松浦 達
 

 
6位 TRIPLANE
『サクラのキセツ』
 偶然出会ったこの曲のYouTubeコメント欄に「TRIPLANEはもっと売れなきゃおかしい」と切実なファンの言葉があった。かつてワンピースのエンディングテーマに曲が起用されたというこのバンドは活動歴ももうすぐ16年と長い。だが僕は知らなかったよ。あまり知られていないバンドやシンガーを紹介するというこのサイトは本当に無名のライブハウス規模のバンドにばかり目を向けたがるが、メジャーだからといって… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 Dear Chambers
『東京』
 Dear Chambersが歌う『東京』は、粗くざらついた声質での絶叫の中に、イライラや焦りや絶望が現れては消え、消えては現れ、東京という街の不思議な魔力がよく表現されている。「大切なものが増えてゆく度/見えない何かに 縛り付けられた」という歌詞が耳から離れない。本当にそうだから。その「何か」は人によって違うだろう。縛り付けられることの不快感も快感もあるだろう。すべてが否定されるものではない。だが… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 LUA
『魔法使いの恋』
 軽快なポップミュージック。朝からこんなポップなサウンドが展開されてるのに出会うとそれだけでハッピーな気分になるから不思議だ。それがポップミュージックというものの力なのだろうし、こういう音楽がもっとたくさん出てくれば、それだけで世界はちょっとだけ幸せな方向に向くような気がする。LUAというアーチストのことはほとんど知らないけれど、ほとんど知らないアーチストがこのくらいのクオリティの… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 Say Sue Me
『Old Town』
 韓国のポップバンドSay Sue Me。彼らを紹介する文章には「60年代サーフロックと90年代のインディ・ロックのポップセンスが融合したスタイル」とあって、正直いってその文章ではよくわからない。確かに90年代のLucy Van Peltを彷彿とさせるどこか物哀しいポップミュージックで、その点では90年代の云々というのは的を得ているとは思うが、そんな60年代の音楽や90年代の音楽との比較で紹介したところで、2010年代も… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 ザ・モアイズユー
『トーキョー・トレイン』
 「やっぱり東京に行った方がいいですかね」という問いかけを何度大阪のバンドから持ちかけられたことだろう。東京に26年暮らしてみた立場として、何の根拠も無い妄言を吐くとすれば、東京には幸せはありません。あるのはただ、便利と夢。それはもう、地方にはまったく無い規模で存在する、それが東京という街の魔力だろう。で、夢があるから、地方に暮らす若者はこぞって東京に向かおうとする… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 岡崎体育
『龍』
 昨年から断捨離という言葉は得意ではないが、身辺整理をしていて、同時にあの段ボールの中の書籍群も読み返したことなかったな、とか、データ化できるものはすべてそうして、コンパクトなサイズのハードディスクに収まったものに妙にしみじみしてみたり、の感慨よりも先に日々何かが起きて、年末年始は新春を祝ぐどころではなかった。喪中につき、や、年賀はがきをやめましょうではなくて、なんとなくが重なってゆくと… (レビュアー:松浦 達
 

 
編集長コメント

1位フラワーカンパニーズ『ハイエース』:過去レビューがランク1位に。上位3曲は実はかなり接戦でしたがフラカンが見事に1位。最新レビューの時にはそんなに注目されなかったような記憶がありますが、調べてみたら2位でした。バンドメンバーが拡散しなくても注目を集めるというのは、ベースとなる熱心なファンが一定数ちゃんと居るということでしょう。フラカンが長続きするのはそういう人たちのおかげかもしれませんね。ちなみに今回の注目の中で「フラカンは今でもハイエースに乗ってます」という報告をいただきました。頑張るバンドとそのファンたちに幸あれ。

2位 BABYMETAL『紅月 -アカツキ-』:BABYMETAL良いですよね。かつて記事では取り上げたことあったんですけれど、レビューではこれが初でした。いや、もっと早くレビューしときゃよかった。北沢東京さんに取り上げてもらってよかった。北沢東京さん独自の視点での愛情たっぷりの文章がまたよかった。ちなみにこれ、2週前にやはり北沢東京さんが【十四代目トイレの花子さん『暁(akatsuki)』】をレビューしてて、アカツキつながりだったんですけど、気付いた人いましたかね? 難しかったですかね。

3位 中川家『地下鉄御堂筋線ブルース』:musiplでは少々珍しいタイプの曲でしたが、こういうのも本当に魂のこもった作品だと思うんですけれど、どうでしょうかね。確認はできてないんですけれど、どうも中川家自身がラジオ番組でこのレビューのことに触れてくれたらしくて、そういうのもあってか、注目を浴びたようです。中川家はSNSをほとんどやってないんですけれど、ラジオのような旧メディアも根強いです。でももしSNSやってて拡散してたらもっと伸びたんでしょうかね。わかりませんけれども。

4位 石田洋介『PUZZLE』:セルフレビューから久々のアクセスランクイン。セルフレビューだからといって力のないアーチストということではないんです。むしろレビューできてなくてごめんなさい。いや、アーチストは実にたくさんいて、すべてに気付くなんてことは難しいというか不可能ですので、「なんだよmusipl、私の好きなあのアーチストを全然取り上げないなんてダメじゃないか」と思われている方もたくさんいらっしゃるでしょうから、そういう時はどうぞ、セルフレビューで紹介してください。そこから拡散して、マンスリーアクセスランクに堂々ランクインって、良いじゃないですか。よろしくお願いしま〜す。

7位 Dear Chambers『東京』:春になって卒業とか進学とか就職とかの季節、どうしても東京ということに気持ちがひっかかります。50年以上前の集団就職とは時代がまったく違っても、地方から若者が東京を目指すということは今も変わらないようで。バブル前なら「夢と希望で頑張ったらこんなにいろいろ実現したよ」みたいな歌もあったけど、最近は「夢も希望もありゃしないし疲れたよまったく」という内容が増えていて、どうしたものかなあと思います。個人的には東京に行って消耗するよりは地方の方が良いという時代なんじゃないかと思うんですが、地方には地方のデメリットも確かにあるし、一概にどちらかを全肯定というわけにはいかないんでしょうね。どちらにせよ、新しい生活が始まる人は、無理ない程度に頑張ってください。

9位 Say Sue Me『Old Town』:韓国のバンドSay Sue Meが9位にランクイン。日本ではほとんど知られていないかもしれませんが、世界をまたに活躍しているバンドです。昨今は日韓の間が政治的にギクシャクしているとかなんとかよく言われますが、音楽芸術の分野に国境なんてないと思うし、良いバンドは良いバンドとしてこれからもどんどん紹介していきたいなあと思います。

次点 岡崎体育『龍』:岡崎体育は天才じゃないかなあと思ったりもします。今も京都の実家で制作活動をしているということで、先日朝のテレビでその実家部屋が紹介されてて、そういうのイイなあとしみじみ感じました。世界中どこにいたって個人レベルで手に入る機材とネットだけで音楽の制作が可能ということだし、それをたいしたイケメンでもない岡崎体育が実践してて人気者とか、ある意味現代のシンデレラストーリーのようにも思います。「カッコいい」という言葉の意味がどんどんと多様化している象徴のようで、多くの人たちにとって福音のような存在でもあるとさえ思います。



 年末年始、忙しくしてたら、うっかり1月のマンスリーアクセスランクを発表するの忘れてました。2018年の年間ランクもまだでした。すみません。急いでページ作りますので、もしよかったらあとで見てくださいね。
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(大島栄二)