HAIM『Summer Girl』
Easycome『something』
ロザリーナ
『ボクラノカタチ』
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不思議な声だ。30年ほど前にcharaが出てきた時に個性的な声だなあと感じたのだが、それに近い感触。ただcharaとはやっぱり(当たり前だけど)違ってて、この人の歌はどことなく島を感じさせる。海辺のナチュラルな感じのアンビエントという感じ。曲調じゃなくて声に。charaの声はどちらかというと都会的で、都会の中にある真空な窪地で叫んでるように囁いているというのが個人的なchara声の印象で、それとは決定的に違う島アンビエント感。面白いな。ロザリーナさんってどんな人なんだろうか。知らないときはいろいろと見聴きする。とりあえず過去のMVを片っ端から見まくったところ、ほとんどがアップテンポの楽曲で、頑張ってる感が強かった。この個性的な声質のボーカルがビートの効いたサウンドに載って、で、パンチが出るかというと然程でもなく。やはりこの声質はアンビエントなのかもしれない。発声の問題というより声質の問題で、ズドンと突き抜けるような勢いを表現するより、低空を浮遊するような、いつの間にか聴こえているよというような、そんなところに特徴があるように感じるし、だから、この曲の歌唱がとてもジワリと響いてくる。もちろんシンガーだからいろいろなテイストの曲を歌う必要はあるだろうし、バラードばかりしんみりと歌っていて2時間近くのワンマンライブが持つわけもないので、そりゃあアップテンポの曲があることは大切なんだけど、このスローテンポな曲が彼女のキャリアに意味するところは、他のシンガーにとってのバラードとはまた違った重みを持っているように感じられた。バラードだって熱唱して歌い上げることがフィットする楽曲があって、そういうのとは違う、こういうふわふわと漂うような歌唱がフィットする楽曲もある。彼女にとってこういう曲に出会ったことはとても良かったのではないだろうか。パンチがある楽曲じゃないから、リスナーを熱狂させるような代表的名曲になるということではないのかもしれないが、特徴ある彼女の声を最大限に活かせる曲であることは間違いない。
(2019.9.5)
(レビュアー:大島栄二)
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