3週間ほど前にwacciの『別の人の彼女になったよ』のレビューを掲載して、しばらくしてこの曲に出会う。解説によると「恋愛に対するコンプレックスから生まれた出来事や感情」を歌っているロックバンドだそう。2つの曲に共通するのは元カレに対して「新しい恋愛を始めた」というメッセージを伝えるというコンセプト。明確に連絡を取ってそのことを伝えるかどうかは別として、意識の中で元カレにそれを伝える風の思考があって。で、wacciの方が「別の人の彼女になった」と言って、このPARIS on the City! は「彼氏ができそう」と言って。この言葉遣いの違いが結構面白いなあと感じた。男の人は、自分が「誰かの彼氏になった」とか「彼女ができた」とか、両方の言い方をするのだろうか。なんとなくしないような気がする。女の人は「誰かの彼女になった」も「彼氏ができた」も言うかなあ、言うよな。なんだろうその違いは。
でもまあ、表現の違いはあるとしても、ひとつの恋愛が終わって次の恋愛が始まる時に、どちらかというと女性の方が元カレのことをキッパリと記憶から100%消し去れる能力を持っているのではないかという気がする。統計を取ったわけじゃないけれど。グズグズといつまでも元カノを忘れられずにいる男の話はよく聞くが、そういう時に「女々しいやつ」という表現をする。いやいや、そういうのが女の人に特有の性質じゃないから。むしろ元カレを忘れられずにいる女性に対して「男々しいやつ」と言った方が実情に合っているんじゃないだろうか。どんな読み方すればいいのかよく知らんけど。
だから、wacciもPARIS on the City! も男が作ってる女性の気持ちなので、ある意味男性が見た「女性にはそういう気持ちでいて欲しい」的な表現なのではないかなあという気がする。もちろん男性も様々だし女性も様々なので、元カレを断ち切れずにいるという女性も普通にいるのだからフェミニズム的な視点から目くじらを立てるつもりもまったく無いんだけれども、個人的には、うーん、それで多くの女性がこの曲好きっていう感じになるのかなあ、という疑問は残ります。いや、いいんですけどね。もちろんこういう曲好き、沁みる、私の心を代弁してくれているっていう女性もかなりの数いるとは思うんですけれどね。そういう、元カレを断ち難い系の女性の中でも、「別の人の彼女になる」という表現と「彼氏ができる」という表現とを較べて、自分はどっち派だという比率はどのくらいなのかなあということにも興味がある。いや、調査とかしませんけど。
この曲、聴いててとても心地良いし、音楽的にwacciの『別の人の彼女になったよ』と較べても全然負けてないレベル。他の曲ももっと聴いてみたいなあと思う。他の曲のタイトルが「言い訳を抱いて」とか「好きなフリしなくてもいいよ」「この世で一番嫌いな君を」「悪魔の遊歩道」といった刺激的な言葉が並んでいるので、興味はグンとアップしているものの、聴いてみるのに勇気が要るかなあと、ちょっとだけ躊躇してしまっている。