湯木慧『バースデイ』
マカロニえんぴつ『洗濯機と君とラヂオ』
ゆいにしお
『DAITAI』
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うわあっ、ゆいにしおのイメージが変わってる!!
最初にレビューしたのが2017年の暮れ。
オフィシャルサイトのバイオグラフィでは1997年生まれとなっているので、その時で20歳。「タッチミー」と繰り返す曲のリズムも発音もコケティッシュで、絵本から飛び出したような世界観を示していた。その後コロムビアのオーディションでグランプリ獲得、5月に初の全国流通版ということで、でもこれインディーズ流通っていうことだし、MVはコロムビアのチャンネルにアップされてるけど、なんとなく微妙な感じの状況なのかな。
まあそんなことはどうでもいいとして、1年半前と比べるとめっちゃ変化してて。これが音楽活動環境の変化から起きたイメージチェンジと考えることもできるけれど、まあ、20歳くらいの若者はちょっとしたことで変化するもので、そんなに特別なことではないのかもしれない。とはいえ、時間の経過を知らずにMVを2本みたなら同一人物とは思えないくらいの変化があって、バンドだったら「ボーカル交代したかな」と思えるくらいで。それがアーチストにとってプラスなのかマイナスなのかはよくわからないけれど、個人的には若者の変化はほとんどの場合進化でもあるので、若いアーチストが自分の殻を破って新境地を披露するのはとてもいいことだと思っている。その前提でこのMVを見た時に、
「タッチミー」の時にあった強烈なオリジナリティ
から比べると多少よくあるおしゃれポップに着地しようとしているように感じられる。こういう楽曲をやる人は意外と多いのだ。メジャー関連の人と関わることによって磨かれ、磨かれながらも角が落とされて、結果的にありきたりな表現になってしまうことはよくあって。それはつまり、ファンが理屈もよくわからずに感じ取ったステキを、プロの理屈によって失うのだ。そんなことを言いながら、周囲のアドバイスを頑なに拒んでいると進化するチャンスを失ったりもするので難しいところだけれども。
人が成長すればより高いステージに上がらざるを得なくなり、そのステージには全国から成長した才能が集まってきてて、その中で自分を見つめて「負けるもんか」と思ったり「こりゃダメだ」と思ったり。ニューアルバムのタイトルが『角部屋シティ』で、もうそのタイトルに新しい人生への希望と不安が凝縮しているようにさえ感じられる。それはなにもシンガーに限ったことではなくて。都会に出てきたすべての若者が、そんな体験をし、不安を感じたりしているものだろう。ゆいにしおの歌が、不安を抱えたすべての若者にとっての指針になるだろうし、そのことを彼女自身が全身で体現しているようにも感じられて、応援したくなる。
(2019.6.20)
(レビュアー:大島栄二)
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