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PSY・S
『Woman・S』

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 PSY・S、好きだったなあ。松浦雅也‎とCHAKAのどちらが好きなのかということで意見も評価も分かれるのだろう。解散後に松浦がゲーム音楽業界での活動に軸足を移し、CHAKAはいくつかのソロとジャズアルバムをリリースして高い評価を受けたものの、PSY・Sの頃のようなポピュラリティを獲得することはなく。だからこの2人の絶妙な組み合わせと、電子音楽とバンドブームが沸き起こっていく1980年代半ばという特別な時代背景が、彼らをバンドとして大成させたのだろう。個々の才能があっても大成しないということはよくあって、この2人と時代の巡り合わせは本当に絶妙なものがあったんだろうなと今でも思う。失礼なことであると自覚しつつあえて言うなら、CHAKAのルックスはけっして美人というわけではない。80年代半ばというとアイドル全盛の時代で、その時期に怒ったバンドブームでもガールズロックといわれるミュージシャンにもアイドルと伍していくくらいのルックスが暗黙のうちに要求されていた。その観点だけからすればPSY・Sはもしかすると最初の段階でアウトだったのかもしれないが、マーケティングもそんなに緻密じゃなく、各レコード会社の制作部には有象無象のディレクターたちがたくさんいたので、「このバンドはすごいですよ」という誰かの強力な推しに、じゃあやってみようかということになったのではないだろうか。いや、完全な妄想に等しい想像ですけれど。当時は2年くらいに3枚ほどアルバム出して、それでダメだったら終わり、くらいの悠長な育成スケジュールで、だから箸にも棒にもひっかからないクズアーチストもたくさんデビューしたけれど、一方でユニークな才能も拾い上げることができた時代だったなあと思います。とにかく、PSY・Sはカッコよかった。突然の解散の発表もなぜだかカッコよかったし、その後再結成とか一切していないのも、PSY・Sらしくてカッコいいなあと思う。今の彼らを聴いてみたいとはちょっと思うけれども。
(2019.5.18) (レビュアー:大島栄二)
 


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