ラッキーオールドサン『旅するギター』
Helado Negro『Running』
Actless
『スーパースター』
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若手バンドのMV。一発撮りで制作されたらしい。街中をとにかく突き進む動画で、歌詞の内容ともフィットしててとてもイイ。それにしてもこのビデオかなりすごいと思う。なにより画面が揺れてなくて安定している。安定する映像を撮るために車とか自転車とか台車にカメラを乗せて撮るということは考えられるけれど、この一発撮り映像では階段を通るのでそれは無理。だからカメラの人も自分の足で動いているわけだが、走ってる主人公を前から撮っているので、被写体への意識を集中させなきゃならないけれども同時に進行方向、つまり自分の後方にも意識を向けてないといけない。それだけでけっこう難しい。3分4秒のところで道の途中に設置してある柵をすり抜けていて、その直前20秒くらいは主人公が全力で走り出してて、だからカメラも全力で走らなきゃいけないはずで、きっと呼吸も乱れながら、カメラは乱れさせることなく、後ろ向きに走りつつ柵のところで転ばないように配慮をする。いやあ、やりたくありませんね。そこでつまずいたりしたらまた最初からやり直しになるし。他にもルートで突然車が出てきてぶつかりそうになるし、危険満載な撮影現場だったのではないかと思う。セットを組んだり美形モデルを出演させたりすることが難しかったり、バンド演奏シーンをする場所を使わせてもらうこともなかなか思い通りにならなかったりするバンドのMV制作は必然的に野外ロケ一択になるものだが、それでも他との差別化をしたいと思ってこういう演出をするのだろうし、それは本当にエラいなと思うが、これを見てくれる人は意外とそういう苦労に気付かないもの。苦労した割にはね。映像なんてそもそもそんなもので、現場で苦労したということなど仕上がった映像の良し悪しとは基本関係ないのだが、それでも頑張って撮影したよということは知ってもらいたいものだろう。なので、ここでちょっと紹介したいなと思った次第。
(2019.4.23)
(レビュアー:大島栄二)
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