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WANIMA
『アゲイン』

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 WANIMAはカッコいいな。何が一体カッコいいんだろうと考えてみて、至った答えは「普通である」ということだった。演奏を聴いていて特別超絶なテクニックや機材を使っているわけじゃない。音楽をやってるとやっぱり他との差別化というか自分たちだけのアイデンティティ、オリジナリティを求めようとするし、それが特殊なテクとか機材に向かったりもする。でもそれはほとんどの場合逃げのようなもので、その自分自身以外にオリジナリティを求めようとする心根は透けて見える。WANIMAの場合そんなものに頼ろうとなんてしてなくて、もしかすると他との差別化なんてことさえ考えてなくて、ただただ自分たちの言いたいことを歌ってるだけで。高音域で少々無理をしているような感じに聴こえる歌が特徴的ではあるけれども、別に数万人にひとりみたいな高いキーの持ち主というよりは、楽に歌えるキーよりも数個上に設定して高い声にチャレンジしているだけで。そういうところがすべて「自分にもやれるかも」と思わせる。高価な機材を持っているとか、特殊な才能を持っているとか、音楽業界に強いコネを持っているとか、そういうのはやっぱカッコよくなくて、何も持っていない自分と同じじゃんと思える彼らがそれなのにズドンと突き抜けてるというのがカッコいいのだ。実際には機材も才能もコネも持ってない人がズドンと突き抜けるのはけっこう難しいのだけれど、それでも自分たちだけで何かを成し遂げられるかもと思える希望のようなものを醸し出して提供しているという点でWANIMAは素晴らしいし、同時代の多くの若者にとって輝ける福音のような存在だといえよう。
(2019.4.12) (レビュアー:大島栄二)
 


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