フレンズ『地球を越えても』
King Gnu『白日』
Wasilla
『シンフォニー』
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春は別れの季節だと思うが、実際には別れに直面している人ってそんなにいないのかもしれない。災害のニュースなどを見ると被災地一帯の人たちが全員困窮していると思いがちだし、困窮している人は本当に深刻なのだが、一帯の人が全員というのは完全な誤解で、家が倒壊してしまった人の隣の家はまったく被害もなく通常の暮らしをそのまま持続していたりする。ニュースは悲劇をことさらに大きく伝えるので、悲劇の隣の人は通常の暮らしをしているだけなのに肩身を狭くしてるようなこともある。保育園に入れなくて待機児童になった家庭では母親が仕事を辞めざるを得なくなったりして大変なのだが、そういうニュースに接すると自分のところが保育園に入れたことがなんか申し訳なく感じたりもするけれど、それはおかしな話だよと思う。悲劇とか大変な人のことに想いを致すことは大切なことだが、想いを致す結果自分のところの普通に負い目を感じる必要なんてまったくない。話が変なところに行ってしまったが、要するに別れの季節だからと1億2千万人が別れてるなんてことはなくて、むしろ普通にしてる人たちが圧倒的大多数。そういう人がなんてことのない普通の生活で幸せに暮らしてるということは、センセーショナルじゃないからか、あまり表現されてこなかったように感じる。このWasilla(わしら)というユニットのこの曲は、そんな普通の幸せを淡々と歌っててとても好感持てる。いろいろなことを一緒に過ごすことの幸せ。当たり前すぎて面白くもなんともないし、幸せだなあと実感することさえ難しかったりするけれど、それが幸せなんだよと優しく教えてくれるようで心地良い。MVではパスタとロールパンを1つのお皿に盛ってて。そのパスタがただケチャップをあえただけのような素っ気ない普通食で、サラダもスープも何にもなくて、炭水化物だけじゃんと思うけれど、日常の家食事なんてそんなものだよ。食べながら、リモコンでチャンネルを変えたりしてる。なんという日常感。シンプルだけれど、とってもほっこりする。
(2019.3.15)
(レビュアー:大島栄二)
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