Ducks『Lume』 Next Plus SongSharon Van Etten『Seventeen』

シゼントウタ
『耳』

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 バンドのMVを作る時にメンバーの演奏シーンをどうするのかは大きなテーマ。いっそメンバーが全員出てこなくてモデルさんだけが登場するイメージビデオにするならともかく、メンバーが出るのなら演奏のみのメンバーだって出すべきだ。ボーカルだけが最初から最後まで歌ってるだけみたいなビデオだったらバンドじゃないじゃんね。ということで楽器メンバーの演奏シーンをどう写すのかは悩みどころなんだけれども、このMVはそこのところを実によく表現しているなあと感心する。なんといっても、各楽器の動きがよくわかる。演奏するメンバーの手元をズームインをしたりズームアウトをしたりが繰り返されていて、これは曲のどの部分でどのパートを写すのかということがあらかじめ決まっていないとこういう演出はできない。全部の楽器がセッティングされててせーので演奏するのをカメラが適当に動きながら10テイクほど撮って、というのだったら実に楽。曲に合わせて並べてリズムにあわせて適当に切り刻んでつないでいけばそこそこの映像はできる。しかし、こういった各パートの映像が統率とれた形でつながってというわけにはいかない。事前にこういう映像を創ると決めてプランニングされているのだろう。その結果、見事に各パートの演奏がリアルに伝わってくる。こういう映像は、演奏をしたりしない普通のリスナーが、歌声以外の個別の音に気付いていき、ひいてはバンドサウンドの面白さを知っていくきっかけになるのではないだろうか。2分30秒直後で、ベースがスラップしてギターソロみたいな演奏に移っていくのだが、そこでギターが映されていないのが個人的にはちょっと残念。音の派手さにしては手の動きが意外なまでに地味というのが映されていない理由なのではと想像しているが、あんな動きでこんな音が出るのか〜というのも、演奏に詳しくないリスナーには驚きだろうし、画面の動きは地味でも演奏ってすごいなと気付ける良い場面だったのになあと思う。まあそこだけがほんのちょっと残念なだけで、全般的にはとても優れたバンドMVであることは間違いない。
(2019.3.5) (レビュアー:大島栄二)
 


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