ズーカラデル『漂流劇団』 Next Plus SongTahiti 80『Natural Reaction』

大平伸正
『アイシテル』

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 誰だろうこの白髪のシンガーはと思ったらghostnoteのボーカルの人だった。こんな人だったっけ、いつの間にそんなに歳とったんだろうか、それにしても暗い表情で歌っているな、どうしたんだろうかと思っていたら、曲の最後に若々しい(?)大平くんが登場。いや、年齢的にヤングというわけじゃないけれど、冒頭の白髪無精髭の姿からすれば若々しいとしかいいようのない表情が見られて安堵した。ghostnoteは2008年にメジャーデビューしたバンドで、5年後にはインディーズとなる。その経過や理由などはわからないけれども、2016年のリリースを最後にほとんど活動の形跡が見られなかったし、ボーカルの大平が積極的にソロ活動を展開していたので、ああ、いろいろあったのだろうなあと推測してしまう。
 バンドマンが一度大きな舞台に立って、しかし周囲のビジネスマンが期待するような結果が出なかったからといってバンドマン自信が活動を停止できるようなら、酷なようだがそのバンド活動、音楽活動はやはり表現ではなくビジネスだったといわざるを得ない。その場合大きなステージに立った頃にファンであった人たちに対してどう申し開きをするのだろうかといつも思う。そんな責任はもちろんないのだが、あれは過去だったと切り捨てることなど表現者だったら出来るわけがなかろうと思うのだ。彼らではないいくつかの元メジャーバンドのメンバーを幾人か知っていて、リリースもままならずにライブハウスでただライブをやり続けていたりする。それを哀れだと言う人もいるだろう。しかし、その姿こそ執念であり、彼らが表現のために活動を始め、そして続けているのだということの証である。そういう表現者であることを自ら証明しているような彼らを見ると、絶頂期にファンになった人は誇らしい気分だろうなあと思う。大平はこの曲の中で「アイシテル」と何度も繰り返す。そのアイシテルは応援してくれているファンへの最大のメッセージであり、今は頼りなくても歌い続けるよと締める。それはまさにこれからの決意を宣言するような言葉として響いている。その決意を証明するかのように、今年12月21日にghostnoteとして4年ぶりとなるライブが開催される。これが単発だけで終わるのかそれとも恒常的な活動再開になるのかはよくわからないし、たとえ単発で終わったとしても、彼らは歌い続けるのだろうということは大平のこの曲からも伝わってくる。そういう表現者の活動を微力ながらも応援したいという気持ちは止まない。
(2018.12.11) (レビュアー:大島栄二)
 


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