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なきごと
『メトロポリタン』

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 最初聴いたとき、ギターとボーカルがぶつかってるなと感じた。イントロから甲高い音色のギターが小気味よく鳴ってて、歌が始まるとギターリフは一旦消えてドラムとベースのみの上にボーカルが載る。しかしAメロ1周終わるとリフがまた入ってくる。リフといっても単にカッティングしているというよりは細かなフレーズを弾きまくっているという印象で、歌を支えているのではなくむしろギターが主役になろうとしているような勢い。音域が高いので同様な声質のボーカルともろにぶつかる。ぶつかっているので歌が聴こえにくい。これはどうなん? 普通に考えればそういうのはダメといわれるだろう。歌モノロックなら歌を邪魔しちゃいけないよと。だが、ちょっと待てよ。このバンドは歌モノロックというよりギターロックなんじゃないか。いや歌モノで同時にギターロックであってもいいんだけれど、彼女たちはギターが良くてそれを聴くことで快感を得られるバンドなのだ。だから歌のためにギターが遠慮して伴奏に徹するというのは無意味だし、それを期待するのは野暮でしかない。2分1秒からのギターのリフ(?)を聴けばそれがよくわかる。あれをドラムやベースも全開の部分でやったら結構埋もれてしまうけれど、ここでやるから目立つしカッコよさが際立つのだ。音楽ファンの大半は歌第一主義だったりするので、ちゃんとギターサウンドの良さを理解してくれるファンを多数ゲットするのは並大抵では無いとは思うけれども、彼女たちには是非とも頑張っていただいて、そのうちにボーカルレスのギター推しアルバムを作るくらいの勢いでやってもらいたいと勝手なことを妄想してしまう。
(2018.11.8) (レビュアー:大島栄二)
 


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