佐野元春『YOUNG BLOODS』
レイラ『Emma』
歪-HIZUMI-
『さよなら』
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ひとつひとつの音がとても綺麗。バンドの名前は歪なのに。綺麗な音で構成される楽曲というのはそれだけで心地良いものだ。冒頭の鍵盤の軽やかな響き、そこに入ってくるAORかメタルかと思わせるようなギターの音色。歌詞は「なんて汚い場所だ」というものから始まるけれども、楽曲は一貫して綺麗な音が散りばめられている。ツインボーカルがいずれも綺麗な声で発声で。ツインボーカルの場合キーが合ってないことも多く、そういう場合どちらかのキーにもう一方が合わせるから声の伸びがどこかで辛くなるしぎこちなくなる。じゃあどちらかに合わせるのではなく中間をとって楽曲のキーを決めてしまうと結局どちらの声も活かされることなく中途半端な歌になってしまうし、だから楽曲全体が死んでしまう。とはいえキーだけでメンバーを決めるというのもなかなか難しくて、でもツインボーカルにしたくてとやっているバンドがほとんどの中、彼らのツインボーカルはいい。これは偶然に近いキー同士の組み合わせになったか、両方のボーカリストが音域が広くてスキルが高いということだと思われる。ちょっとずつスキルが足りないのを「魂とガッツの方が大事、それがロックだ」と言うのはまあいいけど、魂とガッツでカバーできることにも限界があるし、スキルが高い人たちが魂とガッツを発揮した方が素晴らしい結果に至ることが圧倒的に多いということは想像に難くない。もちろん天は二物を与えずというのは一般的なことで、スキルが高い人が魂とガッツも持ち合わせているのかというとそれもなかなか難しいことで、スキルが高い人はそれに依拠する傾向もあるし、簡単な話ではありません。話を元に戻すけれども、こういう綺麗な音と綺麗な歌が揃ったバンドサウンドに出会うことは意外とレアなので、こういう曲に出会ったら過去の曲も聴いてフォローしてみたりして、音源が出てれば購入したりして育てていくのがいいかと思います。
(2018.10.29)
(レビュアー:大島栄二)
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