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なんだろうかこのクセになる怒濤っぷり。KIKIさんのけっして外れてなどいないのに外れているんじゃないかと感じてしまう歌。声がある一定の幅の音域だけで鼻から抜ける感じが特徴的で、しかもその声が鼻から抜ける音域でサビが構成されているからインパクトがある。サビで「どうだ!」って感じで堂々と歌われるからもうそのイメージばかりが耳に心に頭に残る。アレンジ的に声が息継ぎで休みに入るところでブリッジ的にブラス系のシンセが間断なく入るため、聴く側には休みに入る部分が無くなって、怒濤のような音のシャワーという印象が強くなる。歌詞に注目すればそんなに明るさ100%という作品ではないのに、怒濤の音のシャワーのおかげでとてもポジティブな気分になれてしまう。このバンドの他の曲をいくつか聴いて共通しているのはとにかくズンズン前に進むというもの。このパワーはどこから来るんだろうと思うのだが、結局は彼ら自身がそういうポジティブさで生きているということに尽きるのではないだろうか。人が心地良く生きていくためには財力に由来する暮らしのインフラが大きく影響するのだが、それでも富んだ人でさえその人の財力に応じた苦労や悩みは存在し、「なぜあんなに恵まれた人が」と首を傾げるような不幸な話も沢山見聞きする。ましてや富んでいない人は悩みに塗れて生きて行くこと自体苦しみそのものと思うと、意外とそうではなかったりする。そのことを考えると、やはり心地良く生きる上で大事なのは財力よりも心持ちなのだろうという結論になるし、このポジティブ全開で音のシャワーを浴びせかけてくれる彼らのような音楽は、その問いについての考えるヒントを含んでいるように感じる。
(2018.9.14)
(レビュアー:大島栄二)
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