陳敏『燕になりたい』 Next Plus SongPerfume『無限未来』

FINLANDS
『BI』

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 このビデオを見ると「あれ、FINLANDSってこんなバンドだったっけ?」と驚いてしまう。バラードってそれだけを聴くと間違うよな。いやそれもバンドの一面だけれども、それだけでファンになったり、それだけで嫌いになったりするのは愚かだったりもったいなかったりする。本当にそうだ。FINLANDSを知ったのは2年ほど前で、「ウィークエンド」のビデオで冒頭から塩入冬湖の金切り声のようなシャウトでブッ飛ばされた。ああ、これは嫌いな人が出るよなと思った。それほどに声が鋭くて、まるで黒板に爪を立ててギィィィィ〜〜っとやるみたいな声、というよりも音だったから。バンドとかルックスとかキャラクターとかではなく、音としてそれをノイズだと感じて拒絶する人も少なくないだろうなあと。だがそれで拒絶するほどの個性だということでもあって、逆にその鋭さが心地良いという人もきっといる。そういう人に支持をされ、2年前に較べて人気が高まっているのだろう。だから、そういう鋭さが好きな人からすれば、このバラードは、鋭さに欠けている。どことなくcharaにつながる柔らかさに満ちている。あれっと思うのも無理はない。FINLANDSってこんなだったっけ。新しいアルバムを聴いてみる。安心(?)した。鋭さはまったく無くなっていない。むしろ過激になっているとさえいえるほどだ。だったらなぜこのバラードでMVなんだろうか。いやちょっと待てよ、この曲アルバムタイトルにもなっている曲じゃないか。じゃあむしろ新譜のイメージそのものともいえる楽曲なのだ。それが金切り声のような鋭さを薄めたバラードなのか。興味深い。本人たちやスタッフがどういう意図で楽曲を作って曲順を決めたのかはよくわからない。だがひとつ言えることは、この曲だけでバンドのことを好きになったり、嫌いになったりするのは愚かだということだ。鋭さだけで好きになったり嫌いになったりするのと同じくらいに愚かだ。BIというアルバムにはこの曲以外にもバラードだったりミッドテンポのささやくような曲がいくつか入っている。個人的には6曲目の「勝手に思って」がミニマムなスペースで心地良く響いていて好き。いろいろ聴いて、複層的に好きになれるバンドに育っているようでなんか嬉しい。
(2018.8.17) (レビュアー:大島栄二)
 


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