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『擦れ違う街』

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 バンドのマークと思われるマークをお面として顔につけて街を歩くシーンとスタジオでの演奏シーンが交互に映されるミュージックビデオ。このスタジオがめちゃ狭い。これはスタジオなのか?普通のワンルームマンションの方が広いだろう。倉庫スペースなのではないかと思っているのだが、何故ここで撮ったのかという理由探しはともかくとして、この狭い空間で楽器を掻き鳴らして熱唱している3人の姿が暑苦しくて愛おしい。スタジオは当然使うにはお金を払わなければならないし、広い部屋の方が料金は高い。そこで、ビデオを撮るには安い方がいいよねと、この部屋を使うことにしたのだろうか。しかしここはスタジオといってもボーカルブースか、もしかしたらブースでもなくただの機材置き用倉庫スペースでしかないのではないだろうか(さもなければただの廊下)。タイトルは「擦れ違う街」なのに、このスペースでは擦れ違うことさえできないのではないかなどと、妙なところにツッこんでみたくなる。この暑苦しさも漂うバンドの音楽はどうなんだというと、バンドサウンドのアンサンブルとでもいうべきか、ベースがグウィングウィンとルートをループさせているのとドラムのバスバスと各種太鼓が鳴っているのが相互作用するように唸っていて、それがある種のフレイバーになっている。ある意味浜田省吾だ。唐突に感じられるかもしれないが、僕はこのサウンドに浜田省吾を感じた。シンプルなことを淡々と力強く演奏することで生まれる熱さ。そんな大陸的でロードムービー的なサウンドというものはたしかに存在するもので、この曲にはそんな性質があるのではないかと思うのだ。梅雨があけて夏本番という今こそ、こういう曲をストックして、暑さに負けないように聴くというのがいいのではないだろうか。
(2018.7.2) (レビュアー:大島栄二)
 


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