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『夜、自転車と』
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イントロからギターの音がザラザラ、いやジャラジャラしてて、歌が始まると歌声もジャラジャラしているような気がしてくるから不思議だ。音質が良いのと悪いのとどちらが良いのかといわれればそりゃあ良い方が良いに決まっているけど、じゃあ何が良い音なのかと考え始めてもきりがなくて。音楽に大切な要素って音色だけじゃないし、きりがない音色追求なんてやっているうちに大切な時間はあっという間に過ぎていって、良い音が決まった時にはバンドの消費期限はとっくに終わっていたということはよくあることだ。だとすればバンドがやるべきことはどんな音であろうとまずは鳴らすということで、その潔さがとてもよく現れているMVだと思う。わずか2分半のこの曲は、短いはずなのに短いと感じさせること無く、堂々たる1曲として存在している。聴き終わって分数を確認して初めて、あれ、短かったんだと気付く。確認しなければ気付かないのではないだろうか。この疾走感はあっぱれだと思う。古い時代の、1曲が長ければLPにした時に溝の間隔が狭くなって音質が悪くなるぞと言われてた時代の標準的なロックを思い出させてくれる。
(2018.6.14)
(レビュアー:大島栄二)
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