SA『フォーエバーキッズ』
titilulu
山岸健太
『お金がないから君の街までチャリで行く』
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ギターの音に惚れる。このギターの音はなんだろう。画面を見る限りただのアルペジオだ。わかりやすくたくさん音が鳴る12弦ギターの効果みたいなものではないし、押尾コータローに代表されるスラッピングやタッピング奏法のようなものでもない。なのにこの心地良い響きは何だ。ギターが良いのか。ヘッドを見る限りマーチンだ。マーチンはたしかに良いギターだ。でもマーチンを弾けば全部こんな響きになるかというとそんなことはないだろう。じゃあ何で良いのだ。良い響きなのだ。相性ということか。それとも才能か、努力か。おそらくその全部なのだろう。高校の頃、クラスメイトに国体に出るほどの水泳選手がいて、体育の授業で一緒に泳ぐと当然ながらスピードが違う。その泳ぎを見ていると、僕らと同じ水で泳いでいるのではないと感じた。あれは絶対に違う水で泳いでいる。同じプールの隣のコースなんだけどな。もちろん彼は幼少の頃からトレーニングを重ねていたし、体つきを見ると同じ人類とは思えないので、泳ぎが違っていても納得なのだが、ミュージシャンの肉体が外形的に違うところなんてそんなになくて、だからこんな風なギターの響きを聴いてしまったら、僕にも弾けるかもしれないぞと思うのだが、まあ絶対に弾けないし、世の中にいる多くのギタリストだって、同じように弾けるのは稀だ。
山岸健太というミュージシャンのことはそんなに詳しく知っているわけではないし、この曲のタイトルや歌詞のインパクトとかもどうだって良いのだけれど、時々遭遇するこういう楽器の響きって音楽を聴きたいなと思わせる大きな要因だなあって再認識させられるし、そんな力を持ったミュージシャン、ギタリストだと思う。
(2018.6.4)
(レビュアー:大島栄二)
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