Hinds『The Club』
ナキシラベ『ao』
the satellites
『海の町』
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この怒濤のロックサウンド。いや、サウンド自体はそれほど怒濤ではないんだけれども、サウンドだけならもっと詰め詰めな怒濤ぶりの音符の集合というものはいくつも存在しているんだけれども。ではそういう音符をただ詰め込んだからといって音楽表現として怒濤というにふさわしいものが出来るのかというとそんなことはない。そういうのはただの騒音であって、道路工事で削岩機を使って地面を掘っているのとたいして変わりなかったりする。この曲はそういう騒音とはまったく違っていて、イントロからテンションがいきなりマックスになり、それが終始まったく下がらずに続いていく。ボーカルの眼が血走っているかのようだ。普通のシャウトは「シャウトしてるな頑張ってるな」と思ったりするのだが、このシャウトは「この血走りテンションならこういう声になるよな」と思うくらい。そもそも、この曲を他のバンドがカバーしたのならそこではシャウトしないよなというところでさえシャウトしているかのようだ。これはシャウトではないのかもしれない。押さえきれない感情がそのまま荒々しく出ているだけなのかもしれない。何かの理由で追いつめられてもう後がない人の眼でありテンションだと思う。ロックってこうでなきゃ。ロックは音楽ではなく魂の在り様だということがずっと昔から言われていて、僕自身もどちらかというとそっち派なのだが、昨今はそういう魂を感じさせるようなロックに出会うことが実に少なくて、何のサクセスを目指しているんだお前たちはと小一時間説教したくなる(しませんよ、しません)ようなのばっかだったりするのだけれど、この暴走ハイテンションバンドの曲を聴くと、ああ、やっぱりロックは魂だよなあということを再確認させてもらえて嬉しくなる。長崎のロックバンドらしい。HPを見ても、それ以上のことがよくわからない感じで、そういうのもロックっぽくていいよなと思う。仕事で関わると結構面倒かもしれないなあとは思うけども。
(2018.4.26)
(レビュアー:大島栄二)
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