繊細なものがすべてうつくしいわけではないけれど、もし手に触れることができたとしても、刹那、壊れてしまう。ある種の儚さは、私たちの心を打つ。Ryheの曲には、そんなうつくしさはもちろん、そこに肉感的な官能さも備わっている。Michaelの歌声にも、もちろんそうした特徴があるけれど、それに加え、ミニマルなのに豊かさにあふれたリズムや、やわらかな音との融合が、完成された「美」を体現している。平面的な絵画というより、豊潤なフォルムに包まれた彫刻を鑑賞するかのような感覚。Rhyeの場合、耳でその芸術を味わう。この珠玉の体験があまりに気持ちよすぎる。このような曲のタイトルが「Song For You」というのにもぐっときてしまう。5月には来日公演も予定されている彼ら。実際に生で聴いたらもう立っていられないほどに、あらゆる感情が身体中を駆け抜けていくのではないだろうか。もう「現実世界」に戻って来られないかもしれない、そんな体験を是非してみたい。