この壮大なアレンジメントとバック・コーラスとともに高揚する音風景の中で、ひそまされるメッセージには年々ナイーヴになる。1971年12月1日にリリースされたときは時季外れでそこまで話題にならずに彼自身がインタビューでもそのタイミングを間違えたと言っていたが、今ではクリスマス・シーズンと平和を願う歌として世界中で流れる。曲名が周知のとおり『Happy Xmas(War Is Over)』なとおり、当時のベトナム戦争に対しての憂いも込めているゆえに、〈The world is so wrong / And so happy X’mas〉や〈Let’s stop the all the fight〉という詩が行間を膨らませる。前倒される季節の中で、また、悲しみが溢れる社会の中で各々が懸命にもがきながら、どういったフェイズで日々を受け入れることができるのか、できないまま居るのか、考えながら、もう一か月ほどは平和であればと。