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Shing02
『Time Travel Guide』

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 昨今では何かの催しを行なうときに、様ざまな面でインスタレーションを軸にコンセプトをスタイリッシュに描くのが増えている。ある駅で観光案内のインスタレーションを観ていたら、こんな小さな街でも年中に面白そうな行事が、と感服したあとに、10分ほどのループに抜粋された行事がクールな構成で編み込まれていて、プログラムを一周しても気付かなかったみたいなことがあった。その場に行かないと分からない一回性に混ざり合う高度なCGやクリエーターのセンスが活かされたグルーヴが日本のみならず世界のあちこちで発見、共有され合うダイナミクスはいかにも現代だなと感じる。

 「東アジア文化都市2017京都」のプロモーションとしてShing02を招き、京都を拠点に活動する気鋭のアーティストたちやお寺や京都タワーなどが協力しできたこの映像と曲も公開されてからそういった文化プロジェクトの一環としてのみならず興味深く何度も観返すことがあった。再生回数ほどこの10月でも然程はないが、これを機会に改めて紹介しておきたいと思う。観ていただければ一目瞭然だが、“いわゆる、京都“の名所や名物が詰め込まれている。岡崎公園、平安神宮、錦市場、清水寺、伏見稲荷大社、舞妓さん、鴨川デルタなどなど。そこに今らしいスピード感とShing02のライムと詩が小気味良く、作曲を担った山路敦司氏のたおやかなメロディが和な情緒を醸す。もしも、英語で聴き取れないならば、字幕ボタンを押せば、日本語でも分かる。さらに、CGやアニメーションが各所に鮮やかに跳ね、圧巻は2分23秒辺りの京都タワーに巻き付くように舞う龍だろうか。近年、バブルなほどに京都はいまだに観光都市として人気が高く、また訪れる人たちの多さや宿や他の問題も出てきてはいるが、「コンパクトな中で名所旧跡、町屋を横目に自転車で駆け抜けられる京都は心地いい」とウクライナ人の知己が言っていた。彼は竹林、枯山水や豆乳鍋もクールだとも。そういうグローバリズムは現地を訪れないと分かり得ないもので心からいいことだと思う。

 いずれは、各記号や仕来りに疲弊してきたら、意味のある場所に、またそこではないところを探して目指し始めるのだろうし、観光客だらけで身動きが取れなくなる時期があったとしても、普段の生活の地道として、ただいつもの舗道や参道はあったり、飛び石を越えて対岸に向かうための作法はまだあるからこそ、細い道でも我先にと急がず、ゆずり合いながら、守り合いながら続いていけば、と。
(2017.11.3) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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