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矢野顕子
『GOD’S LOYAL LOVE~東京は夜の7時』

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 東京は夜の七時って、そうか矢野顕子がピチカートファイヴのあの名曲をカバーしてたのか。って、んんん? なんか違うな。いや、全然違うじゃないか。別の曲ですよ、別の曲。ググってみたらピチカートのは1993年に発表されてたらしく、矢野顕子のこの曲は1979年のリリースだそう。で、曲名は「GOD’S LOYAL LOVE~東京は夜の7時」ということで、このYouTubeに書かれてる「七時」という漢字表記は誤りのようです。で、これは僕の勝手な説なんですけど、「カバー」というのは別の人の曲を歌うことの中でも自分の表現手法のオリジナリティを加味したもので、だからオリジナル曲とはまったく別の曲として聴こえたりする。そうじゃなくてオリジナルと変わらないじゃんというのは「コピー」。このカバーとコピーの狭間というのがものすごく深い亀裂で、他の人の曲を演っても演奏者の曲になるという人は、実力者なのだと思うわけです。だからレーベル主宰者の立場としては、時々バンドに「カバーをやってみたら?」と言ってみることがある。そこでそのバンドのカラーを出せるのであれば、そのバンドも実力があるということになるからだ。矢野顕子という人に実力があるのは今さらあえて言うようなことではない事実で、だからこの彼女の曲である「東京は夜の7時」も、最初は「んんん〜、さすがは矢野顕子、まったくもって自分の曲になってるな」なんて感想を持ったりしたわけです。あ〜恥ずかしい!! まあとにかく、VHS3倍速のようなこのビデオ、時代を感じさせますな。そしてアッコちゃん、若いですな。最近の若者は海外旅行に興味が無いってよく言われてて、それは不景気でお金が無いのもあるけれど、Googleマップのストリートビューなんかで行った気になれるとか、ネットで世界が狭くなったからとか、そんな理由もあるらしい。1970年代のこの曲で「聞こえるよ、見えるよ、行ったことないとこだけど、手を伸ばしてごらん」と呼びかけていて、ああ、この頃の若者に共通した何の根拠も無いけど「見える、聞こえる」というHOPEのようなものがあるなあと嬉しくなる。あまりに多くのことを処理する中で本当には触れることなく済ましてしまうよりも、ほとんどのことを知らないけれどもほんの少しのものにだけはきちんと触っていたあの頃には、あの頃の幸せというものがあったよなあと、懐かしく思うのです。

(※2018.5.5時点で動画が削除されているのを確認しています。レビュー文面のみ残しておきます)
(2017.3.25) (レビュアー:大島栄二)
 


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