これはThe White Stripesの未発表曲らしい。ジャック・ホワイトがリリースしたばかりのアコースティック曲集に収められている。そこにはもちろんソロになってからのものもあるし、バンド時代のものもある。しかし今回、この曲が目玉になっているのは、PVがミシェル・ゴンドリーの手によるものだ、というのも大きいはず。映画監督としても名声を得た彼が撮ったPVはどれも話題を呼んできた。それ故、新作も期待してしまう。内容は、ただシャワーが流れるガラスに指先で絵を描いている、というだけのものなのだけれど、ずっと見ていられる。抒情的な曲と相まって、不思議と飽きがこない。今さらThe White Stripesの曲だと言われても、アコースティックギター一本での演奏なので、当時のバンドのイメージを重ねるのは難しいのは確かだ。ただ、いい曲である。シンプルな音だけに、ガラスに映るお湯の流れのように、メロディの動きが心の内側に軌道を残す。その手触りは、物悲しくも温かい。