qimygo『言葉のいらないうたばかり』 Next Plus SongTOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA『水琴窟 feat.上原ひろみ』

T字路s
『これさえあれば』

LINEで送る
 この声のインパクト。歌表現において声はパーツであってすべてではない。だから声のことばかり言われてもきっと嬉しくなんてないだろう。その声はひとつの入口であり表情でありその向う側にある世界観というか表現に含まれるすべての要素が評価されてナンボというのが本当のところで、だからT字路sの歌声だけに耳と心を寄せるのはきっと間違いなのだろう。この声を耳にしてパッと思ったのは忌野清志郎。独特なしゃがれ声は唯一無二と言える彼独自のもので、初めて聴いた時はものすごいインパクトを感じたものだった。一度聴いたら無視できない歌声だが、じゃあその声だけが忌野清志郎の魅力なのかというとファンは即座に首を横に振るだろう。あくまでそれは入口で、清志郎の価値はひとつひとつの曲に現れる個性的な世の中の見方で、僕らは彼の曲を通じて世界を違った風景として見ることができるようになった。だから彼の声がああでなくても一向に構わないともいえるのだが、じゃああの声じゃなくてもいいのかといわれると躊躇する。あの声にしかない魅力というものもあって、清志郎の歌声を聴くことはそれそのものがひとつの体験であり、ファンは声に魅了されているということも決して否定することができない。T字路sボーカルのイトウタエコの声もまた聴けば聴くほど最初のアクの強さから独特の味として耳に粘り着いてくる。僕は好きだ。ここから一歩も二歩も踏み込んで聴いていって、新たなマイフェイバリットアーチストになっていくのかもという予感もある。
(2016.8.12) (レビュアー:大島栄二)
 


  ARTIST INFOMATION →
           
 


 
 このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てにメールをいただければ、修正及び削除など対応いたします。