Gold Panda『Chiba Nights』 Next Plus Songウソツキ『一生分のラブレター』

soratobiwo
『うつせみ』

LINEで送る
 どうにも満たされない。歌っている詩の内容がもう満たされない満たされないと言っていて、HPのプロフィールにも「十代が多分に抱えるセンチメンタリズムを未だに引きずる大人になりきれない二十代達」と書かれていて、だからこの満たされない感というのはかなりの確信犯。梅雨のこの季節にこういう満たされないソングを聴くとさらにどんよりとしていくので、人によっては要注意かもしれないが、僕個人としてはこういうどんより感にひたるのはけっして悪いことではないと思っている。スカッとカラッと竹を割ったようにシンプルで清々しいというのがひとつの価値ではあるのは認めるけれど、そうありなさいと誰かに言われれば、いやいや、なんでそんなステレオタイプの良い子にならなきゃアカンのかとへそを曲げてしまいたくなる。じとじとと雫がまとわりつくような気候の中で待ちわびるから太陽の良さも解るのであって、機械でカラリと乾燥させた部屋に逃げ込んでいたら、晴れのありがたみは永遠に解らない。だからこういう季節には乾かない洗濯物を仕方なく部屋に干して、その結果部屋の中までジメジメしてしまい、ハーッと溜息を漏らしながら過ごすことも悪くないよなあと思う。そんな部屋で静かに聴くには最高の1曲なのかもしれない。皮膚も心もジトーっとさせて、晴れ間が見つかったらいいなと思いながら。
(2016.6.23) (レビュアー:大島栄二)
 


  ARTIST INFOMATION →
           
 


 
 このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てにメールをいただければ、修正及び削除など対応いたします。