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Qaijff
『Wonderful Life』

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 あれ、Qaijffってこんなだったっけ、こんなだったっけこんなだったっけと無限ループで答えは出ない。森彩乃って人はそんじょそこらの取って付けたような美少女ボーカルロックバンドの人とは違ってて、コワい人だと思ってた。圧力があるというべきか。歌を聴いてると説教されているような、でもちゃんと説教してくれてるからけっして不快じゃないよというような、笑顔がけっして笑っていないその表情がとてもいいなと思ってた。口角が上がってても目が笑ってないだろう、何が不満なのか、いや、不満じゃないよなアレは。嘲るように「どうだ!」って感じの目。笑いませんよ、易々と微笑んだりするもんですかというような、そんな感じ。でもこの曲このMVでは笑っている。いや、よくよく見ると笑ってはいない。でもその笑っていない感はこわばっているような感じの笑ってない感で、けっして嘲るようなどうだ感ではなくて。だから、全然違うなあと。この曲はテレビのタイアップがついているそうで、業界的なおとな力学の中で何か活動そのものがもう自分たちだけのものではなくなっていって、そういう中でのもがきのようなものがこの表情に滲み出ているのかなあと、そんな風にも思う。この曲の2分過ぎで画面がモノクロになり、曲調が変わって、「それでもひとつ願うんだ/君も僕もいつか変わっていくけど、恐れないでいこう」と歌っている。ハッとする。笑わない目はこちらをじっと見つめている。鍵盤を叩く手の動きはその時だけ必要以上のアクションで鍵盤を叩き付ける。静かな音の部分なのに激しく叩き付ける。そこに彼女の、彼女たちの決意を感じる。自分たちは変わるのだと。バンドが何かをつかみ、誰かの助けを借りつつその誰かに配慮しつつ、変わりながら、変わらないでいくための躊躇と飛躍とその狭間。「どこにも存在はしない、何度も何度も始めるWonderful Life」という歌詞が、挑戦的で、決意的で、象徴的な歌だなあとまた好きになる。
(2016.6.14) (レビュアー:大島栄二)
 


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