白波多カミン『姉弟』 Next Plus SongWeezer『California Kids』

中村一義
『スカイライン』

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 四月、別れ、旅立ちの季節。2012年に於けるデビュー15周年を記念する日本武道館でのライヴは現場にいても感極まるところがあったとともに、ひとつの彼の区切りも感じた。ベースボール・ベアー、サニーデイ・サービス、くるりの参加も含め。そして、『金字塔』、100s、そして、再び一人に戻っての『対音楽』と壮絶にして純然たる長い航路の果てに歓喜が舞い上がり、音楽の資質は再び、聴き手それぞれに預託されるようで。
 それからの、小さく「まち(の)なか」をまわるライヴを続け、そこでのまっさらな新曲を交えて、小さくも声を届けたい人に届けるスタンスも、遠く離れていた人からの突然の嬉しい便りが日常に持ち上げてくれる、そんな雰囲気もあり、2015年のまちなかオンリー!で公開された「スカイライン」は本人が「キャノンボール」に呼応する楽曲でタイトルと言っていたとおり、多幸的な開放感に溢れながら、そして、観客のコーラス・ラインまでも昇華せしめ、新しい人への背中を押すバンド・サウンドでの歌だった。
 ディラン・アンド・ザ・バンドまでは言えず、また、ベースメントではないが、ここでの大海原への出港前でのやり取りの機微、愛無き方に自由はないこと、本当に笑うこと、盛大に泣くこと、を巡廻しつつ、もしも、大航海に散ることがあっても、「かけるな、憐れみを!」とうたうさまは何だか胸に深く響く。航海の途中で難破しても、順風満帆でも、いつかの“再会”に向けての、精確には旅立ちに向けての、または、もう旅立ってしまった人たちに向けての狂騒曲(ラプソディー)として狂おしくも。
 バンジョーの音、コーラスの声もあくまで賑やかに、静かに彼は始まりのホイッスルを鳴らす。雲を散らすのは海賊団か、そうじゃない金字塔の向こうの何かか。季節は巡る。
 どうか、この先々の艱難な瀬に誰もの近くにささやかなロックンロールと、波乱に満ちたいい旅を、と心から希ってやまない。

「後悔?できんのも、ここ、ここ。ここまで。」(「スカイライン」)
(2016.4.12) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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