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YUTORI-SEDAI
『涙の雨』

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 YUTORI-SEDAIというバンド名はやはりゆとり世代ということなのだろうか。ゆとり世代が実際にどの世代なのかということには諸説あるらしいが、現在20歳前後のこのバンドもゆとり世代の中に属するのだろうか。ゆとり世代であるかどうかがその人の性質や力量を決めるわけではないが、一定の思惑で語られることは不可避なのだろう。僕の頃なら新人類などという言葉があり、上の世代は自分とは違う世代を理解できなくなった時に、なんらかの定義付けをすることで安心したくなるのが常であるから、なんと呼ばれようと気にしなければいいことだ。そもそもゆとり世代というのはカリキュラムを減らして勉強以外のことに時間やエネルギーを割けるようにすることで、多様なスキルを身に付ける素地を作るということであったと思う。それが何故だか学力の低い世代という決めつけになってしまっているのだが、こういう音楽の分野のことでいえば、学校の勉強以外の何かを獲得した若者がたくさん生まれているはずなのであり、そういう意味で、もっともっと多様な文化を紡ぎ出してくれればいいなあと密かに思っている。学力が低いという大人側からの揶揄など気にせず、その大人が実現できなかった高度な文化を作り出していけるのだとすれば、ゆとりは有意義だったということになるではないか。このYUTORI-SEDAIというバンドの歌は、繊細なサウンドで、でも芯を持った熱いテイストを持っていると思う。バンド名であえて自分たちの世代を表明しているのだから、その世代の秘めた熱さを、世代代表として打ち出していってもらいたいなあ。

(※2017.12.29現在動画が削除されているのを確認しています。レビュー文面のみ残しております)
(2016.4.4) (レビュアー:大島栄二)
 


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