沖ちづる『光』
PUFFY『パフィピポ山』
うぃっち
『250日』
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歌が詩と決定的に違うのは、言葉が持つ意味だけではなくリズムがそこにある点だろう。だが詩にもリズムがあるのは常識であって、じゃあメロディがあるからなのかというと、僕はどうもそうじゃないと思っている。律を持つというかたちで同じ数の言葉を選ぶという意味でのリズムと、歌のリズムはやはり違っていて、この曲を聴くとなるほどそうかと合点がいったりする。ように思う。最初のフレーズが終わったところでのブリッジとなる部分で、ボーカルは「かかんかかん」と言葉を重ねる。それは歌詞というより、リズムであって、擬音である。映像ではあえて電車が走って「かかん」の説明をしてくれるが、その映像がなくとも、もうひとつの声が「かーんかーんかーんかーん」と重ねることで、それが踏切の、そして走りゆく電車の描写だということが理解される。それはどんなに描写を言語で説明するよりも雄弁で、イメージを具現化してくれる。全体的に歌詞はバラバラのイメージを重ねていて、よくよく聞いていなければこの歌が何を表現しているのか、そのテーマは何なのかということはつかみにくいのだが、この「かかんかかん」や、冒頭での「りりりり、りりりり」といった音が、この曲のテーマ性を聴き手の心にダイレクトに植え付けている。その電車に乗ってどこかに向かう、そういう250日ということの意味を、音は、リズムは教えてくれる。
(2015.12.4)
(レビュアー:大島栄二)
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