加藤いづみ『好きになって、よかった』
水森かおり『鳥取砂丘』
リリカチック
『Drops』
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エレクトロニカという言葉が登場してもうどのくらいたったのだろうか。Perfumeがデビュー10周年らしいが当時彼女たちがエレクトロニカだという打ち出しはされてなかったと思うし、それ以前にまだPerfumeは無名である。当然中田ヤスタカの名前も知られていない。m-floの頃にはそんな用語一般的ではなかったし、じゃあいつなのかと考えてみてもはっきりとした日本での広がりの起源はどうにもわからず、しかし気がついたら猫も杓子もエレクトロニカと表明していたように思う。ジャンルとしてもエレポップからシューゲイザー、アンビエントと幅広く、だから要するに「電子楽器を柱に作っている音楽」というだけで、音楽ジャンルではないと個人的には考えている。しかし電子楽器の使われ方というのは、DX-7などでちまちま作っていた時代に「いかに生楽器のように作り込めるか」を追い求めていたのとは違って、近年では電子楽器ですよということをより明確に前面に出すことを、まったく厭っていないようで、それはそれでとても興味深い。クリエイターもリスナーも、電子楽器の音に完全に慣れ、市民権を得たのだなあと感慨もひとしおだ。そうなってくると、もはやそれが電子楽器であることに特別な意味なんてあるわけがなく、重要なのはそういう音で構成された音楽が、どのくらいロックなのか、どのくらいポップなのか、そのセンスや完成度にこそ焦点は移っているし、そもそも本来そうあるべきだろうとも思う。このリリカチックというバンドは結成から日も浅く、特にライブを重ねるでもなく、しかし曲も作り動画も淡々と制作し公開している。バンドといえばライブだよと主張してもう20年以上月に1度のライブを淡々とこなすのみのオッサンバンドとは違う世界に住んでいるかのようで面白い。曲もとてもポップだし、こういう人たちがステップを駆け上がっていくことが、これからのバンドシーンのひとつの傾向になっていくのではと、ちょっと感じたりもする。
(※2018.1.31時点で動画が削除されているのを確認しました。レビュー文面のみ残しておきます)
(2015.10.12)
(レビュアー:大島栄二)
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