Young Juvenile Youth『Animation』
Unknown Mortal Orchestra『Multi-Love』
D
『Night-ship"D"』
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「大切なファンは、もうひとりのバンドメンバー」とか、「会場のみんなとライブをつくりあげる」とか、誰が言ったかしらないが、もはや著作権フリーの名言。新鮮味がない概念なのだろうか?!ここに一つの真実の物語を紹介しよう。
『D』は分類としてはヴィジュアル系になる。ライブへ行くことは「参戦」。両手を大きく開閉する観客は「咲き」。そんな用語やしきたりがあるV系のライブへ、初めてDを見る少年が広島の田舎から大阪のライブハウスへの10代の冒険。バンドへのあこがれが抑えきれなくて、バンギャばっかりの女子シャンプー臭漂う会場に初めて足を踏み入れた。歌はもちろん全部一緒に唄える。見よう見まねで周りに合わせて頭をフリ、手を広げた。そしてアンコール曲『Night-ship"D"』のMC「よーし!旗を上げろ!」に合わせて、客席みんなが小さい旗を掲げる。どうしよう、旗持ってない。その時、少年の事を見ていた女の子が、自分用のとは別の旗を取り出して「どうぞ」と微笑んでくれた。惚れてまうやろーーーーー!ドーーーーン!(銀紙キャノン砲)。
想像して欲しい。もし、その女の子が居なかったら、少年はどんな思いでライブの帰路についたか。お客さんがライブを作り上げるというけれど、ビジュアル系は特にそうだ。そして、ファンはもうひとりのバンドメンバーという意味を少年は噛み締めた。「もし、あまり慣れた感じではないファンが会場にいたら、俺がディズニーランドのキャストになろう。その人を、俺は寂しい気持ちで帰したりはしない。ビジュアル系のライブは閉じた世界なんかじゃない。俺自身が新しい出会いを閉じない限り」。少年が心酔したV系バンド『D』は活動を休止したが、 もう一人のメンバーの魂は死なず。『NoGoD』『DuelJewel』『Lacroix Despheres』のライブ会場で、少年は今でもライブ慣れしていないファンに優しい対応をしているという。
(2015.6.16)
(レビュアー:北沢東京)
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