Ash『Kung Fu』
たちなみえみ『horse riding』
メロディーキッチン
『はじまりの歌』
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音楽を表現する人にとってストリートとはなんだろうか。知り合いのミュージシャンもストリートをずっとやってファンの輪を広げてやがてメジャーデビューした。やり方ひとつで自分たちの魅力を多くの人に知らせるきっかけにはなるのだろう。その場を良い音大きな音で飾ろうと機材の力を借りて武装する人も少なくないが、そういう武装の裏にある照れ隠しは思っている以上に周囲に伝わる。いかにさらけ出すのかがカギとなるストリートで、武装することはかえって逆効果になることは多い。で、このビデオ、行き交う人が立ち止まろうともしない路上で2人の女の子が歌っている。こういう光景は駅前の歩道橋や立体交差などではよく見かける光景だ。ただ、途中から拡声器を持って歌いだす。それはほとんど見たことがない。マイクスタンドとアンプという組合せとはまったく違って、必死さが滲み出てくる。伝わってくる。僕なら、確実に足を止めてこの2人の演奏を見るだろう。音楽用のマイクに較べ拡声器の音は悪い。でも、注目をする。したくなる。結果として、誰も足を止めない良い音よりも、立ち止まってしまう悪い音の方が、効果はある。どうせストリートをやるのなら、聴かれてナンボだ。そのためなら何でもやるべきだ。だからこの拡声器はステキだと思う。そういう方法論の話はともかく、少しだけ掠れたハスキーなこの声がとても魅力的だ。一歩間違えると演歌にもなってしまうようなコブシとビブラートの境を揺れるように歌い上げられる声も、どこまでも熱唱したって揺らいだり崩れたりしない歌唱力も、地味だけど、グイグイと心に迫る。それは
ライブの様子
からも伝わってくる。ライブハウスではさすがに拡声器は持っていないのだが、そこまでお客さんがきてくれたら、もはや飛び道具としての拡声器は必要ないということでもあるのだろう。
(2015.5.28)
(レビュアー:大島栄二)
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