Tuxedo『Number One』
chocolatre『メアリー』
COMIX
『ピースサイン』
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好きになったバンドが有名になって次の作品を期待するんだけれども、その期待が大きすぎるのか、それともバンドはもうとっくに限界に達してしまっているのか、理由はハッキリとはしないけれども確実に自分の期待を上回ることがなくて完全燃焼しきれないということはよくある。というかほとんどの場合はそんな感じだ。一方でまったく知らないバンドの歌に偶然出会って「コレ何よ?」と急激に心が躍ることもある。こちらはそんなの稀なんだけれども。で、稀なそんな出会いに遭遇すれば、答えてくれない何かに期待などしていたことが馬鹿らしく思えてきて、馬鹿らしい期待をしていた意味は何だったんだろうと判らなくなる。実際には音楽そのものを評価しているのではなく、ひとたび心を寄せた何かが持つであろうドラマの続編を期待しているにすぎなかったりするのだ。だが心を坦懐にして音楽に対峙してみれば、ステキな音楽とはなにもドームの遠いステージの果てに豆粒のように存在しているのではなく、そこかしこの小さなライブハウスで、あなたとの出会いを待っているのだということがわかる。誰かのドラマの続編を傍観するのではなく、自分がその音楽を発見する出会いそのものが、実は自分自身のドラマだということもわかる。このシンプルで心躍る歌を聴かせてくれるバンドはHPを見てもスケジュールとディスコグラフィくらいしか判らないのだが、音楽そのものがステキであれば、もはやバンド名さえわからなくても良いのではないかとさえ、ちょっと思った。
(2015.5.21)
(レビュアー:大島栄二)
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