イヌガヨ『ロックンロール』 Next Plus Songたこやきレインボー『なにわのはにわ』

Satomimagae
『Niji』

 次から次へと新しいセンスを持ったSSWが出てくるのは頼もしい限りですが、彼、彼女らは最初から「大きな物語」を前提としておらず、かといって、開き直った自身の半径数mの現実内に完結しない、すこし投げやりな、今を生きる想像力が宿っているのが共底している気がします。だから、昔からのベッドルーム・アーティストに比しますと、どこか聡明でフラットに(仮想)世界とリンクした背徳感が映像と同化されて、届けられるところがあります。このSatomimagaeもネオ・アシッド・フォークの流れを受けているようであり、独自の美意識が見受けられます。こういう揺らめくような淡い音像の中で、あくまで、消えゆく儚い抒情をなぞるのではなく、今の感性で、新しい意味の文字起こししてゆくような風情はまさに、近年のSSWの中でも象徴的な存在の一人だと感じます。この曲のギターのアルペジオだけ追いましても、いつかのアルゼンチン音響派のようで、声そのものはボサ・ノヴァに沿いますようで、要は“REBEL”のための要素が備わっているというのも魅かれます。400記事を越えました、musiplがずっと続けてきました意味のひとつはこういうアーティストに“気付き”の導脈を敷くことだと思ってなりません。
(2014.12.10) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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