イントロから、まるで時代が80年代にタイムスリップしたかのような眩いサウンドに意識が向く。これまで彼らのゴシックな文学性、美学を持ったディーセントなストイシズムに貫かれた音の中からでも片鱗は感じられたものの、より振り切れて、色彩溢れる音に更新されてきたともいえるが、元来、備えていた幻惑的なロマンティシズムを今の彼らとして呈示するとしたならば、この曲のようなバウンシーでユーフォリックなものに必然に、なったといえるのかもしれない。
冒頭に80年代の、と記したものの、曲の細部ではかなり前衛的な展開もあったり、フランスのオルタナティヴ・ロック・バンド、フェニックスが過剰にも思えるダンス・ビートを援用したポスト・パンク的なサウンドを持った曲、例えば、「Entertainment」などと似て非なる近接性も感じられる。また、MVの中ではイギーポップ、ジョイ・ディヴィジョンの『Unknown Pleasures』のポスターなどが断片的によぎるところに彼らの軸のブレなさを改めて感じるとともに、こういった曲が流れる年の瀬、クリスマスの時期とはクールだなと思う。
そして、何気なくも最後に〈Stay as you are,By my side, forever〉と繰り返されるラインは美しい。